a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

1920年代 普通 (好みで)

Seven Chances (1925) - 追われる

Buster Keaton監督 大量の花嫁姿の女に追いかけられる、見どころ満載の作品。

Felix in the Swim (1922) - 落ちが面白い

Pat Sullivan制作 落ちが面白い。母親が子供を待ちかまえて棒で殴るシルエットは、泥棒の侵入の様を彷彿とさせる。子供に対してそこまでやるか、というギャップが楽しいのである。

Get Out and Get Under (1920) - シンプルな三人を観る。

Hal Roach as director 古典作品を観ると、そのシンプルさが心地よいと思う。それは、近年の映画が芸術的であるのかシンプルなストーリーであるのか、中途半端に見えるからである。たとえば、人間の性の問題ーそれ自体は重要主題であるがーに着目し、背景に…

The General (1926) - 機関車での逃走劇を観る。

Buster Keaton, Clyde Bruckman監督。 機関車を走らせての逃走劇など、現代においてはその機関車すら存在しないのであるから、十分に貴重な作品であると同時に歴史資料的な価値もある作品である。 スラップスティック・コメディ映画が、しだいに六十分を超え…

One Week (1920) - 初めて?女の裸を写した映画を観る。

Buster Keaton, Eddie Cline監督。 近年のアメリカ映画であれフランス映画であれ、女の裸をスクリーンで観ることが一般的になっている。特に、女だけが脱ぐという偏差が著しいのが、最近のアメリカ映画であると思っている。しかも、そのショットに特段の意味…

Never Weaken (1921) - 高層世界でのショットを観る。

Fred Newmeyer監督。 Hal Roach, Sam Taylor脚本。 前にもHarold Lloydが高層ホテルの窓から飛び出す内容の映画を観ていたので、彼の代名詞は高層ビルであるのかと勘ぐってしまう。しかし、今のハリウッドアクション映画はたいてい高層ビルからの脱出ショッ…

Cops (1922) - Keatonの跳躍を観る。

Buster Keaton, Eddie Cline監督。 人の身長の何倍もあるような梯子を、シーソーのように動かしながらKeatonが移動する曲芸が観れる。それだけでも圧巻であるが、最後にはシーソーの動きがふりきれてKeatonが力学的にはありえない位置まで飛んでいってしまう…

The Playhouse (1921) - 大量の水が部屋からあふれる元祖を観る。

Buster Keaton, Eddie Cline監督。 大量の水が、部屋の奥から手前に噴出していく。このモチーフはKubrickの『シャイニング』にも在るが、本作がそのアイディアで言えば元祖になるだろう。

Balloonatic (1923) - 滝から落ちるアドベンチャーの元祖を観る。

Buster Keaton, Eddie Cline監督。 滝のショットに、暗示的効果が認められる。 渓流下りの際に滝から落ちるというシナリオが有名であるが、本作はその「上」を行くものである。

Hard Luck (1921) - 釣りを映画で観る。

Buster Keaton, Eddie Cline監督。 Hard Luckを題材にした小品集の様相となっている。私が知る限り、釣竿をつかって魚を捕るシーンがある始めての映画である。

The High Sign (1921) - 巨視的な映像を観る。

Buster Keaton, Eddie Cline監督。 映画とは、かなり概略化して言えば人物の移動によって成り立つ。本作は、今までの映画と異なり、一階と二階の連続する四部屋を巨視的に同時に撮影した。つまり、カメラをカットしたり動かすことなく、人物の移動を撮影した…

Battling Butler (1926) - 遊戯くずしのコメディを観る。

Buster Keaton監督。 ナンセンス喜劇の巨匠ともいえるBuster Keatonの作品。Boxingをしている筈であるのに、どこか遊戯くずしをしている様子に見える。相手は打っても打っても、Keatonは倒れない。Keatonの方はというと、攻撃をまったく繰り出さないのである…

The Blacksmith (1922) - 終幕の落ちの巧みさを観る。

Buster Keaton, Mal.St.Clair監督。 どことなく、冒頭と中盤以降でストーリーが一貫していないように見受けられるが、おそらく前半はやりたい事をすきに撮ってつなげたのであろう。 終幕の際、やや複雑で暗示的な入れ子構造をとっている。これがなかなかに巧…

The Haunted House (1921) - 階段がすべり台になる元祖を観る。

Buster Keaton, Eddie Cline監督。 階段がいきなりすべり台になるというナンセンスは、今の時代となってはありふれているけれども、1921年にはすでに発明されていたと考えると感慨深い。 本作を観て感じるのは、現代映画が多用するdetail shotがほとんどなく…

Battleship Potemkin (1925) - detail shotの詳細な進化学を観る。

Sergei Eisentsein監督。 彼がゴスキノで製作した記念すべき作品。 モンタージュを基礎として完成させられた映画であるという予備知識があるか無いかには関わらず、本作には数々のdetail shotが使用されていることが、観たらすぐにわかるほどの綿密なモンタ…

High and Dizzy (1920) - 高層ビルの窓の外を観る。

Hal Roach監督。 夢遊病と、飲みすぎた酔っ払いという、二つの軸を掛け合わせた作品。高層ビルの窓をあけて、その外にある細い足場を通っていくというモチーフは、もしかしたら本作が初かもしれない。当時の映画館にいた観客は悲鳴を上げていたであろう。

Convict 13 (1920) - アクション映画の始まりを観る。

Buster Keaton, Eddie Cline監督。 はじめにゴルフを興じているが、ふとしたきっかけで囚人にさせられてしまう。 交渉不能な敵があらわれて、その敵を物理的手段によって倒す後半のストーリーは、ハリウッドのアクション映画の典型に通じるものがある。

The electric house (1922) - エスカレーターを観る。

Buster Keaton監督。 エスカレーターで二階へと移動したいのだけれど、エスカレーターが途中から下方向へと運動をはじめるので、登場人物は縦の移動ができない。もしくは、食事を給仕するために、レールに乗った自動給仕装置のようなものが登場する。すべて…

Daydream (1922) - 映画のみで取り扱うことができる主題を観る。

Buster Keaton監督。 この作品はすばらしい。この作品が述べていることは、文学的に表現することも、音楽的に表現することもし難い。完全に、映画という文体でのみ表現できるようなことを扱っており、非常に好感が持てた。

The goat (1921) - 動く列車を利用した映画を観る。

Buster Keaton監督。 この頃の映画で、実際に動く舞台を利用した映画というのは珍しいかと思う。更に極めつけは、ラストにおいて列車の先頭にKeatonが乗っかっていた点である。あまりにも独特なセンス。

The Boat (1921) - 装置の発展を観る。

Buster Keaton, Eddie Cline監督。 カメラ自体を回転させることで、空間全体が回転しているように見せかける手法は、本作が初めてではない。船が揺れる様子の一部や、河を登って下る様子をこの技術を応用して示した点がおもしろい。しかも、船の様子は途中か…

Nosferatu - Eine Symphonie des Grauens (1922) - ニワトリの鳴く朝まで。

Friedrich Wilhelm Murnau監督。 1922年に発表された白黒のムルナウ版に加え、着色カラー版、また1979年にWerner Herzog監督による別作のリメイクが出ている。 映画音楽がほとんど常に鳴っている。それも、それぞれの登場人物や状況について、ひとつのテーマ…

Un Chien Andalou (1928) - Luis Bunuel初作

Luis BuñuelおよびSalvadorDali監督。16分の短編映画。Bunuelの処女作。 女の眼球を横一文字に切るショットではじまる。眼球は切られて、透明な粘液性の液体がとろとろと出る。それからも、手のひらに蟻が数匹うごめいていて、それをじっと見つめる男性。切…

La Passion de Jeanne d'Arc (1928) - detail shotの名作

Carl Theodor Dreyer監督。 かの横光利一が小説「機械」の描写法として応用したほどの、クローズショットの技法を多用した作品。フランス白黒映画の名作である。 少し長めの状況設定から入る。ジャンヌ・ダルクの異端審問についての書物があるという説明がな…