a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

1950年代 普通 (好みで)

The Mystery of Picasso (1956) - 変容

Henri-Georges Clouzot監督 一度描いた画を、上乗せして別の画で置き換えてしまう様子に驚いた。

羅生門 (1950) - 鮮やか

黒澤明監督 芥川龍之介の小説「藪の中」を以前読んだ。本作を観ていると、そのとき頭の中に浮かんだ情景が、鮮やかに再現されてきた。素晴らし作品である。 (木の葉の影、音楽を用いてそよ風を発生を描写した。)

An Old Man and The Crane (1958) - 緻密

Roman Kachanov監督 緻密に撮影されている。鶴は、監督の以後の作品にほとんど登場しないが、この細い首と足を持つ動物は、似たような姿でクレーン車の造形に応用されている気がする。 (白樺がロシアの気候を描写する)

The Cloud in Love (1959) - 大陸

Roman Kachanov監督 色使いが綺麗な作品。ロシアは西欧とアジアにまたがる国であり、そして日本まで隣接する。私がロシアの感性に触れると、それを通じて大陸全体のエッセンスを感じるように思える。

A Drop Too Much (1954) - 酔っ払い運転

Břetislav Pojar 監督 飲みすぎて理性を失ったバイク乗りが、道路をどんどん加速していく人形アニメ。そのアニメーション方法が、飲酒運転の主題の中ではユニークであり、ゆらゆらと加速する主観ショットがおもしろい。

Someone Like It Hot (1959) - 脚本の良さ

Billy Wilder監督 ストーリーが面白い。男二人を女装させ、それぞれ錯綜した恋愛劇を展開する内容である。

Rear Window(1954) - サスペンス

Alfred Hichcock監督 サスペンス要素が満載の作品。面白い。

Forbidden Games (1952) - 墓

René Clément監督 綺麗な画面である。少女が死んだ犬を埋葬し、次々に墓を作っては十字架を盗んでいく。

Roman Holiday(1953) - 過去の、脚本の王

William Wyler監督 脚本のお手本として、誰もが羨むような完成度を持っている。まず始まる王女という貴族体制のデカダンスに、記者という資本主義の野心が次々と混じりあう。無邪気という潤滑油で二人の勢いが加速し、王道の恋愛映画に発展する。そもそも、…

A Story of Water(1958) - 語り

Jean-Luc Godard, François Truffaut監督 語る映画。二人の個性が活かされた意味でまさに共作だ。

The Gift of the Magi (1952) - 普通

Henry King監督 オー・ヘンリーの短編をオムニバスにまとめた『人生模様』の五番目に収録されている。これぞ労動階級の映画である。乗り越え難い、見えない壁。クリスマスプレゼントをせっかく買って、しかし大切なものを黙って売って、裕福になったのかどう…

The Ransom of Red Chief (1952) - 遠景の映画センス

Howard Hawks監督 オー・ヘンリーの短編をオムニバスにまとめた『人生模様』の四番目に収録されている。ちょうど良い長さの作品。窓越しに車を撮って、誘拐される様を遠景に納めて、映画ならではの叙事のセンスを出した。

The Last Leaf (1952) - 普通

Jean Negulesco監督 オー・ヘンリーの短編をオムニバスにまとめた『人生模様』の三番目に収録されている。物語は文学的巧妙さというか、複数の主題対立が時計の歯車のごとく合致しているのだが、果たして20分程度の尺で映画がその精密さを描写しきれたかと考…

The Clarion Call (1952) - 普通

Henry Hathaway監督 オー・ヘンリーの短編をオムニバスにまとめた『人生模様』の二番目に収録されている。これも、オムニバスの一番目に引き続いて面白くない。過去のシークエンスも必要な短編であったため、20分程度の尺でまとめること自体が不可能に近かっ…

The Cop and the Anthem(1952) - 普通

Henry Koster監督 オー・ヘンリーの短編をオムニバスにまとめた『人生模様』の一番目に収録されている。が、特に面白くはない。当時のスーツのファッションが見れる点では価値があるかもしれない。

Shane (1953) - ホルンの遠景

George Stevens 監督 まさに、これぞアメリカ。つまり開拓者精神、ハードボイルドにあふれた作品である。 ホルンの遠景を多く採用することで雄大な空間を演出しているが、見方を変えればストーリーを他の世界から断絶するように囲んでいる山々とも思える。そ…

The Old Man and the Sea (1958) - 映像の巧みさ

John Sturges 監督 John Sturgesと聞いて真っ先に思い浮かぶのが『荒野の七人』、『シノーラ』などのマカロニウエスタンである。一方で本作のような自然を上手く活用しないと話の本筋すらわからなくなってしまう、上手に実写化するには難しい作品も出してい…

The Immoral Mr. Teas (1959) - 麻痺

Russ Meyer 監督 繰り返される単調な音楽のために麻痺したような映画世界に、次々と妄想が広がっていく。このテーマ音楽がなければ、あまりにも単調すぎて映画としての体をなさないだろう。テーマはあるが筋などあったものではない。どちらかといえば、鬱に…

The War of the Worlds (1953) - 微生物に感謝

Byron Haskin 監督 人類は微生物にどれだけ助けられていることか。特に映画世界の中では、微生物は本作のように味方にもなれば、大量殺戮兵器としての敵にもなる(最近の映画は、微生物は敵役ばかりである)。映画は目に見えないものを写すことができないのに…

Science Fiction(1959) - まさに

Stan Vanderbeek 監督 まさにフィクション。地球を割ったら、生卵がでてきて目玉焼きが焼かれるような、ナンセンスを題材にしており、米ソ対立を皮肉している。

The Trouble with Harry (1955) - 村人談合。

Alfred Hitchcock as director Hitchcockの特色としては、我々から観たらめずらしい。なんとサスペンスの要素がほとんど無い。彼らしいサスペンスという意味で言えば、それは皆無である。 この訳の分からぬ作品は、舞台喜劇でも見ているようなキャメラで進行…

Vertigo (1958) - 色彩による感情描写と、原作の忠実な解釈に対して。

Alfred Hitchcock as director 人間の本質を描く、というのが本作の目的である。Hitchcockは色彩で人間の感情を表現し、音楽で人間の深層心理を描写できると考えていたようだ。ここには、色彩と音楽の明瞭な住み分けが存在し、互いの境界線を乗り越えること…

Smiles of a Summer Night (1955) - 映画表現の追究を観る。

Ingmar Bergman監督。 映画において、最も映画らしい表現を追及している監督であると私が考えているImgmar Bergmanの出世作の一つ。 彼の良さには、通常の映画においてはカットするべきシークエンスをカットしない点がある。それが、彼の追及する意味での映…

Ascenseur pour l'echafaud (1958) - フランス映画のお手本を観る。

Louis Malle監督。 殺人犯が証拠を隠滅しようとたくらむ途中でエレベーターの中に閉じ込められてしまうという、まさに本作は死刑台のエレベーターである。殺人犯が閉じ込められてしまっただけでは映画の尺が保てないので、その殺人犯の車を盗んで好き放題す…

The Seventh Seal(1957) - 世紀末を観る。

Ingar Bergman as director 突如として自らの目の前に死神が現れ、その予感に囚われながらも発生するロードムービーである。そのため二つのストーリー展開軸があるように思う。ひとつは主人公が死神という要因により死ぬのではないかという、死という時限爆…

隠し砦の三悪人(1958) - 力強いストーリーの変遷を観る。

黒澤明監督。 菊島隆三、小国英雄、橋本忍、黒澤明脚本。 ストーリーの運びが非常に力強い。精神的にも身体的にも元気な監督が撮ると、自然とストーリーに自信がみなぎってくる。秋月の戦いに敗れ、捕虜になり、脱走し、金の延べ棒を得る。ここで三船敏郎が…

七人の侍 (1954) - 表情に対する素晴らしき光の陰影を観る。

黒澤明監督。 人間本来の可能性を存分に目で感じることのできる作品。それは、七人の侍や百姓が、一聞すれば不可能に思えることに挑戦しているというストーリーの構成だから可能性を感じるのではなく、画面から観客の目に確実に伝わる圧倒的な表情の躍動感に…

Les Quatre Cents Coups (1959) - 躍動する少年の鮮烈な匂いを観る。

Francois Truffaut監督。 Jean Constantin音楽。 奔放な少年の匂いが近くまで届きそうな、物体のイメージが鮮烈に残る作品。最後どのように終わるのかと興味をもって観ていたら、少年の静止画のクローズアップである。最後の最後まで少年のイメージが目の奥…

Les Mistons (1958) - 子供への無限の可能性を観る。

Francois Truffaut監督。 本作から二つのことを感じた。ひとつは、子供に対する無限の可能性と監督のそれに対する絶対的な信頼感だ。ふたつは、大人は運命に翻弄されるが、子供は運命から自由であるという事実である。この意味で、かなり哲学的な映画である…

Killer's Kiss (1955) - ロマンチック音楽の使い方を聴く。

Stanley Kubrick監督。 Gerald Fried音楽制作。 音楽制作は前作『恐怖と欲望』を担当した人が続投している。 ボクサーであるのに、マネキンや槍などの道具を駆使して戦っており奇妙さがある。 男がギャングたちと死闘し、その後に恋する女と結ばれるというロ…