a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

1950年代 普通 (好みで)

Paths of Glory (1957) - 処刑される兵士と精神的救済を観る。

Stanley Kubrick監督。 Gerald Fried音楽制作。 フランス軍で軍法会議によって処刑される兵士を描くという、アメリカ映画のなかで特異な作品。兵士は処刑されてしまうが、その後にいくつかの救済が待っているという構図である。

Fear and Desire (1953) - 詩的な画面を観る。

Stanley Kubrick監督。 Gerald Fried音楽制作。 原作と本作がどこまで忠実に関連しているのかを調べていない上で述べる。敵陣地へと乗り込む間、味方そして敵双方のショットが交互にしめされている。しかも、話している内容は心の中でつぶやくような独白で、…

Hiroshima mon amour (1959) - 事件性の認識を観る。

Alain Resnais監督。 当時はさぞかし衝撃を生んだ作品であったであろう。フランス人が、日本に来て原爆について語っているのである。かと思いきや、後半はドイツ人将校のことを日本で延々と思い出して泣いて、最後はお互いのことを「ヒロシマ」「ヌベール」…

The Killing (1956) - 最後のワンショットの怖さを観る。

Stanley Kubrick監督。 最初から最後までおもしろいストーリーで、画面も観客を飽きさせない。本作もそうであるが、映画のほとんどは例外なく悲劇で構成されるので、最後には強盗は警察につかまるか、もしくは死ぬのである。本作は警察に捕まることになるが…

お茶漬けの味(1952) - お茶漬けにストーリーが収斂する、すばらしい作品。

小津安二郎監督。 本作がとても素晴らしいという所以は、お茶漬けの味という味覚に、物語のすべてが集結するように出来ているところである。お茶漬けの味というのは、中年夫婦の精神的な不仲の象徴であるが、その実体は妻の精神的な防衛線でもあり、夫という…

? bout de souffle (1959) - 魂がぬける、タバコ煙のひとかたまりが逸品的である。

Jean-Luc Godard監督 男が女とともに警察から逃避行する。しかし、途中から女が裏切る事になり、男は悲惨な結末をむかえるというストーリー。重要なのは、これがサクセスストーリーではなく、ある男がほとんど無意味的にただ死ぬというストーリーである点で…

東京物語 (1953) - 家族の絆が喪失し、そして再生する物語。

小津安二郎監督。 人物の配置、奥行きの撮り方が非常に綺麗な作品。どのショットを静止画として取ってきたとしても、写真として成立するようにみえる。これがどういうことかというと、もっとも優れた映画にしかなし得ない、芸術的な映画の域に達しているとい…

西鶴一代女(1952) - こういう女。どの時代、国も問わず。

溝口健二監督。 “THE LIFE OHARU”という英題があるとおり、お春という人物についての話である。原作は井原西鶴の「好色一代女」。江戸初期の作品である。 「嫌われ松子の一生」という映画が最近流行ったが、本作とほとんどストーリーが似ていて、平成版西鶴…

雨月物語(1953) - 艶かしい色気の出た日本映画の傑作

溝口健二監督。 白黒日本映画の名作である。映像美を追求しているのであるが、大衆娯楽要素もあるという妖美な作品である。 予告編では「文芸最高巨編 雨月物語」「今ぞ妖美の限りを尽くしてここに映画化」とかなり喧伝したようである。 二つの幻想の世界が…

Singin’ in the Rain (1952) - talkie, silentの主題を両手に持った名作。

Gene Kelly, Stanley Donen監督。 帽子やらマネキンやらが、蹴られて画面の外へぽんぽん追い出されていく。テンポがよくて安定した名作。 silentとtalkieという対立した主題には、男と女の情念に重ねてしまい、統一して解決していくのが王道の構図である。言…