a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

1980年代 普通 (好みで)

Blue Velvet (1986)- 垣間見た異常。

David Lynch監督 助演のIsabellas Rosselliniがあまり演技が上手くない。この人は、なんとIngrid Bergmanの娘。 作品は、正常な愛の関係としてのLaura Dernが居て、それに比べれば異常で倒錯した愛の関係としてのIsabellas Rosselliniが居る。これが前者を最…

Back to the Future Part II(1989) - 負け続けるTannen家を観る。

Robert Zemeckis 監督。 構想が非常におもしろい。現在を85年とすると、未来のスケーターを使って、スポーツ年鑑を取り戻す過去の場面で役立てるのである。こういう映画は公開したもの勝ちである。タイムトラベルものの映画は作られるけれど、タイムパラドッ…

Pauline at the Beach (1983) - ポーリーヌのかけがえのない夏を観る。

Eric Rohmer 監督 フランスの雰囲気を感じたければ、この一本を観れば足りる。雰囲気というのはひと夏の自由な恋愛感情に他ならないが、一方で言葉の節々に哲学を、個人主義的思想も感じるだろう。日本は西欧思想を取り込んだ際にも、個人主義はどうしても取…

Cinema Paradiso (1988) - 映画への愛のいじらしさ

GIuseppe Tornatore as director 映画の愛に包まれた作品である。監督の映画への愛が非常によく伝わる。『ミツバチにささやき』でも『SUPER 8』でも、監督の映画への愛は、登場人物の子供が抱く映画への愛として示される。いかにそれが純愛であるかを、子供…

楢山節考 (1983) - 日本の共同体意識と自然を観る。

今村昌平監督。 日本の共同体意識と、山の自然との調和が描かれていて映画として上手い。非常に美しかった。 姥捨て後の積雪のシーンが若干画面が汚い。悪天候の野外をおして撮影をしているから、室内で撮影をするよりは画面が粗いに決まっている。本作で描…

Fanny and Alexander (1982) - 映画のほぼ全てがこの一枚に入っている。

Ingmar Bergman 監督 監督が自ら引退宣言をして残した作品の中で、おそらく最もすばらしい。すべてのシーンのスクリーンプレイがなめらかであり、不自然な箇所が見当たらない。その意味で、虚構であるのにあたかも現実の一家族におきた出来事を描写している…

NINE 1/2 WEEKS(1986) - 果敢な負け戦-目隠しの食事-を観る。

Adrian Lyne監督。 全体的に画面の色調が暗い。多少くすんだ画面を好む人もいるだろう。恋愛映画に暗い色調は合わないと本作を嫌う人もいるだろう。フィルライトが足りないので人物の表情が影になり見えないこともあれば、逆光で風景がぼやけることもある。…

Time of the Gypsies (1988) - 浮き上がる花嫁を観る。

Emir Kustrica as director フェリーニの影響を色濃く受けている。花嫁の頭につけるもの(名称がわからない)がひらひらと飛んでいくが、舞い上がるのではなく水平に刺すように飛んでいく。花嫁も水平に浮き上がり、唯一心配するのは彼女が頭から下に落ちな…

Sex, Lies, and Videotape (1989) - 小奇麗にまとまった作品を観る。

Steven Soderbergh as director 地面をひたすらに取り続け、オープンクレジットが終了すると「Garbage」という脈絡のない一声で始まる映画。たえずカメラを微妙に動かしながらキャラクターを撮るスタイルである。私は本作を観て、自愛することの意味を悟った…

City of Women (1980) - 国ごとの女の個性を観る。

Federico Fellini監督。 国による映画感性の違いとは、ひとつには女の人間社会に対する振舞い方にあるのではないか。どの国の映画においても、男の社会や家庭への関わり方や、人生に対する価値観がいかにステレオタイプで単純であるかという点において男はい…

Back to the Future (1985) - 試行錯誤された映画を観る。

Robert Zemeckis as director 荒削りのコマまわしであるが、作者の伝えたいストーリーが明確であることと、登場人物や社会がオプティミスティックであることが幸いし、荒削りであることすらも本作にとって良い個性であるかのような印象を与える。実際にいく…

Down by Law (1986) - バーで人と親しくなるような作品を観る。

Jim Jarmusch監督。 異なる国籍や背景を持つ人が、気軽に仲良くなれるというのがこの監督のいい所 なのである。かなり綺麗にまとまりすぎているところがあるようにも感じる。一 人で気軽にバーに行くと、バーに居る全員がそれなりに異なる背景を持つ大人で …

Stranger than Paradise(1984) - 映画における人間のエッセンスがわかる作品を観る。

Jim Jarmusch監督。 人がどうしたら仲良くなるのか、またどうしたら歩調が合わなくなるのか、その エッセンスがわかる映画であった。こういう人間の本質的な性質をたどることは 、映画における基礎的な部分である。観ていて楽しいものだ。

Paris, Texas (1984) - 三原色に気を遣った作品を観る。

Wim Wenders監督。 ひとつの部屋の中に、青く照らされる区画と緑に照らされる区画、そして赤のソファーが設置されている場所があるという具合に、画面の中にそれぞれの原色対立が見られる作品。色が人間の感情を支配し、背景が緑の中に佇む人間は息子を取り…

Boy Meets Girl (1984) - 大きな透明窓という装置を観る。

Leos Carax監督。 フランス監督のある一部は、『カイユ』紙などで映画批評をして働き、その後に監督業を始めている。そのような経歴を持つからか、もしくは自然に、映画に商業性を求めるよりはむしろ芸術性を追求する傾向を持たれているように思う。その場合…

Mauvais Sang (1986) - 漆黒の艶を観る。

Leos Carax監督。 画面がすばらしい。夜のショットに富んでいるので、その分だけ漆黒さを帯びるシークエンスが続く。夜の撮影は、ロケーションも含めて調整が大変なので、その志には非常に好感を持つ。アメリカの夜と言って、昼の露光があるショットを夜であ…

Leningrad Cowboys Go America (1989) - 北欧の即興劇を観る。

Aki Kaurismaki監督。 即興的にストーリーが構成される映画である。独裁者という属性のキャラクターが登場するのであるが、史実を基調とした主人公が独裁者である場合を除いて、この属性を持つキャラクターが出てくるのは珍しい。

Crime and Punishment (1983) - クラシック音楽とロック音楽の絶妙な使い方を観る。

Aki Kaurismaki監督。 Shostakovichの『交響曲5番』が何度も使用されている。まさかShostakovichを、ここまで違和感無く映像に組み込むことができるとは思っていなかったので、正直に観ていて嬉しくなった。本作で焦点が合わせられているものは、絶望とまで…

Parmanent Vacation(1980) - 監督の卒業制作品を観る。

Jim Jarmusch監督。 現代風に言えば若者によくあるようなモラトリアムということで、若者の亡霊 のような自己探求を描いている印象である。自分の感性に合う、自分の居場所で あるという確信的な安心を抱けないから、居住地を転々として自分に合う場所を 探…

48 HRS.(1982) - 刑事ものの王道を観る。

Walter Hill監督。 教科書を地で行くような話で、功績を得ないと後がない警察官と、その警察官に 期限付きで釈放をされる囚人のコンビによるストーリーである。ただし、俳優が 上手いので楽しく観れてしまう。ストーリーが普通でも、俳優のその素地に人間 と…

Bram Stoker's Dracula (1992) - すばらしい映像美を観る。

Francis Ford Coppola監督。 Wojciech Kilar音楽制作。 どうでも良い雑談であるが、映画の画面とは、奥行きを表現する態度であると私は考えている。そのため、登場人物は奥から手前へと移動してきて、結果としてカメラがその動きと連動して動くことで、いま…

Kin-dza-dza! (1986) - 映画音楽が大成功した例を観る。

Georgiy Daneliya監督。 ロシアやソビエトのSF惑星映画やそのストーリーは、とても面白い。もしかしたら、ナンセンス劇が好きな国民なのかもしれない。 本作は、マッチが通貨になっている、ナンセンス劇度合いの強い映画である。そして、映画音楽が大成功し…

時をかける少女 (1983) - 映像美の独特さを観る。

大林宣彦監督。 出演している多くの俳優たちは、今で言う「棒読み」である。波がやってきて、その波に飲まれるという形でタイムトラベルが可能となる。その映像は今の私には特殊と片付けてしまうほかがなく、非常に残念ではあるが、非常に見ごたえのあるもの…

Mad Max beyond thunderdome (1985) - 決戦のストーリー構造と遊戯構造を観る。

George Miller監督。 本シリーズの初作で、ドライビング映画でありそれゆえに面白かったのであるが、いまやドライバーの面影すらなくなってしまった。初作がすばらしいが故に連続的に続編が発生し、初作の面影を減衰していく姿は『ランボー』に通じるものが…

Bragil (1985) - この世界観はなかなかのもの。

Terence Gilliam監督。 これ以上のSFは無いと思われる。Science fictionとしてではなく、望ましい未来について語る未来学としてのfictionである。なぜなら、本作に登場している全ての機器や官僚体制は、実際にわれわれが生きている世界で実現しようと思えば…

Wings of desire (1987) - 男と女の可能性について。

Wim Wenders監督。 モノクロをうまく用いて、色彩の感覚を鋭敏化させることに成功した。本作はその点において映画の可能性を発展させたかと思う。 サーカスの女がいて、最終的に天使がその女とキスをすることで終幕する。つまりは人間という存在と天使という…

Predator (1987) - アクション魔物の中に人間自身を観る。

Johe McTiernan監督。 Steve Wangが手がけたプレデターは、いままでの宇宙人とは様相が異なる。『21世紀宇宙の旅』のような摩訶不思議な存在ではないし、大量殺戮のみを目的にしているような機械でもない。どうも、プレデターは人間を鏡に写したようないでた…

Mad Max2 (1981) - 前作とは異なる雰囲気の作品。

George Miller監督。 主人公の色恋沙汰がまったくないため、前作とは異なる雰囲気の作品に仕上がった。

The Last Boy Scout (1991) - 遊戯要素が満載。

Tony Scott監督。 子役のDanielle Harrisが、大人を物怖じしないすばらしい演技を見せている。その後、映画俳優にはならなかったようであるが、いまでもアメリカのドラマに出演しているという。以前『God Father』でマシンガンで穴だらけにされる男を見たこ…

Full Metal Jacket(1987) - 徹底した悲劇。

Stanley Cubrick監督。 ベトナム戦争というテーマで、一体いくつの映画が撮られたことであろう。『プラトーン』は、ベトナム戦争の画面描写において右に出るものはいない映画であるが、『ランボー』はベトナム帰還兵の心理葛藤を描写する意味で最高の映画で…