a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

1990年代 普通 (好みで)

Being John Marcovich(1999)- 穴の空間感覚を観る。

Spike Jonze as director 普通の映画における法則として、全体の1/3が時間経過した際にはメインストーリーが展開済みである必要があるが、本作においては例外である。いつまで経っても、ストーリーがどのように展開するのかが見えない。そこが面白いのだと…

Lovers of the Arctic Circle(1998) - だらしない男を観る。

Julio Medem as director 本作ほどシネマスコープの必要性が無かった映画は見当たらない。時折監督もその端のスペースをもてあましている。ビスタサイズでよかった。 最後アナは交通事故で死んでしまうが、まさか道路を白目を向きながら引きずられていくとは…

Night on the Planet(1991)-Winona Ryderの光る映画を観る。

Jim Jarmusch監督。 タクシーの中での人物描写を主とした映画である。住む世界が違いすぎている、 というのがドライバーと乗客の境遇における基本的な条件になっている。本作で 面白いのは、その境遇の違いを乗り越える会話にあるというか、シナリオの良さ …

The Match Factory Girl (1990) - 肉体労働者の苦悩を観る。

Aki Kaurismaki監督。 本作が何と似ているかと言えば、同監督の『罪と罰』とシナリオの本旨があまり変わらない。主人公は工場の肉体労働者であり、単純労働をしている。そして肉体的にではなく、精神的に何らかのフラストレーションを感じる。(『罪と罰』で…

Les Amants du Pont-Neuf (1991) - ブルーレイで観たい映画no.1

Leos Carax監督。 恋愛に対する非常に真面目な映画である。よく見かけるパターンの中では、男と女が出会いそこでいきなり裸になって抱き合うのであるが、本作は恋愛を描く画面の上で女の裸に頼っているものではない。互いに身体に不具合があるからという理由…

Damage (1992) - おとなしい逢引映画を観る。

Louis Malle監督。 並の映画よりは明らかにカメラワークが上手であるが、やはり欠点も多い。冒頭でJuliette Binocheがパーティーで登場した場面、普通の人間は見ず知らずで本作の画面のように非常に近い距離まで寄って会話することは、まず無い。それは、会…

Polish Wedding (1998) - 音楽に頼りすぎな映画を観る。

Theresa Connelly監督。 人物の会話や行動に違和感が多いのと、撮影の仕方がやや単調である点が気になる。メインテーマの映画音楽を、編曲をかさねて常に流し続けるようなスタイルである。映画としての画面を撮るための文法は、多少なりとも存在しているはず…

Drifting Clouds (1996) - 本来的な人間劇を観る。

Aki Kaurismaki監督。 順風満帆そうな夫婦が居る。ふと、夫がリストラに合ってしまう。そして夫が再就職に苦労しはじめていると、妻もリストラに合ってしまう。そして何をしても上手くいかないうちに、税金逃れをしているなどと因縁をつけられて警察の影も忍…

Take Care of Your Scarf, Tatiana (1994) - 男と女の視線が交差する一瞬を観る。

Aki Kaurismaki監督。 男と女がいて、女はヒッチハイクで後から車に乗ってくる。全体の2/3が終わるところまで、彼らの仲にはなんら進展が起きず、女は男のことを「フィンランドの男って嫌ねぇ」といった風に陰で悪口を言っている。しかし、ふとした瞬間、運…

Leningrad Cowboys Meet Moses (1994) - モーゼがまさかの独裁者という展開を観る。

Aki Kaurismaki監督。 モーゼが出てくるので何事かと期待して観たら、前作の独裁者がそのまま名前を変えて出てきただけという、独特な肩透かしをくらう映画。即興演出である点も前作と変わらない。 ハリウッド映画のような仰々しい敵が存在しない。本シリー…

Ghost Dog(1999) - 不思議な古来日本の感覚を観る。

Jim Jarmusch監督。 異なる国籍の人が、ついに互いに言語がわからないにもかかわらず、気軽に仲良 くなっている。Ghost Dogとアイスクリーム売りである。 この監督がアクション映画に取り組んだのは、非常に意外な印象を持つ。大衆娯 楽の映画とは異なる方向…

おもひでぽろぽろ (1991) - 女の子の弱みそのものまで描いた作品を観る。

高畑勲監督。 小学生時代のシークエンスなど、私にも「あるある」と共感できるような場面ば かりである。こういう、的確で繊細な描写ができるということで、スタジオジブ リはアニメ界における優等生なのであって、その意味において天才肌なのではな い。 と…

Casper (1995) - 子供も大人と同様の感情表現ができるという明瞭な証拠を観る。

Brad Silberling監督。 子供も大人と同様の感情表現ができるという明瞭な証拠となる映画である。本作 の中で女のティーンエージャーは、同姓への嫌がらせも、虚栄も、日々の孤独も 、ふと沸く冒険心も、不正に立ち向かう心も、何でも表現することができた。…

TAXi (1998) - Marion Cotillandの魅力を観る。

Gerard Pires監督。 Marion Cotillandは、なかなか稀に見るユニークな女優である。可愛い笑顔で「2 時間で戻らなかったら(この女は)火あぶりにするわ」と平気で言える。しかも その台詞の余韻に、嫌な感じや悪気を残さないことが凄い。『エディット・ピア …

Sleepless in Seattle(1993) - 子供のストーリーへの影響力を観る。

Nora Ephron監督。 アメリカではるか隔てた場所にいる男女が、エンパイアステートビルでめぐり会 うまでをストーリーにしている。何が二人をめぐり合わせたのかといえば、それ は主人公に残された一人の息子である。子供の力によって、現実では不可能であ る…

HANA-BI(1998) - 絵画を上手く取り入れた映画を観る。

北野武監督。 監督が芸人でもあるからという訳ではないが、芸人であると主に二つの点におい て映画で才能を開花させることができる。ひとつは、遊戯を描写する際の多彩さ と深さである。これは、ジョークとも通じるところがある。人間は、人生のどこ かで遊…

Pulp Fiction (1994) - シネマスコープの教科書を観る。

Quentin Tarantino監督。 「パルプ・フィクション」は非常に良くできた映画だ。 つまらない単調な映画は、白紙の上に描いた非常に長い直線になることがある。そ れは、途中から観たら話の全貌がわからず、かと言って初めから線を追っても、単調なためにつま…

Helas pour moi(1993) - 不協和音で連結される画面を観る。

Jean-Luc Godard監督。 男と女が座っており上半身を写しているショットに、同じ場所に女だけが座って いるショットを連結させると、極めて不自然である。不自然ではあるが本作では 実際にそれをやってのけており、その連結の際には、ピアノの鍵盤をでたらめ…

How to Make an American Quilt (1995) - 迷信的な映画を観る。

Jocelyn Moorhouse監督。 愛情が崩壊していくという、映画が非常に好むテーマについて取り扱っている。そしてまた、テーマについて禅問答のようなストーリーを展開して、その中で登場人物に喋らせて、ストーリーの答えを見つけ出そうとするものである。その…

Matilda (1996) - 誇張と極論による映画を観る。

Roald Dahl原作 映画原作の御用達であるRoald Dahlの原作である。主人公が超能力をもってガラス容器を割り、そこに閉じ込められた動物が悪役のもとに飛んでいき、悪役がてんてこ舞いをする。このシークエンスは、『ハリーポッター』シリーズに同じ要素が含ま…

Primary Colors (1998) - detail shotとスローモーションの与える印象を観る。

Mike Nichols監督。 この監督も映画を撮るのが上手い。人と人が握手をするdetail shotから入る冒頭のシークエンスが印象的である。 音楽を比較的使用することがなく、ユーモアを利用してストーリーを牽引していくスタイルである。そのユーモアの不条理さの中…

Chain Reaction (1996) - 好みが人によりけりの映画を観る。

Andrew Davis監督。 Jerry Goldsmith音楽制作。 一概に批判をする意図はないが、音楽が単調でありつまらなかった。以前、B級映画とは「おおそよ現実であれば見られることのない、TPOに沿わない軽口や軽率行動を登場人物が言う」ものであると述べた。このよう…

Little Buddha (1993) - キアヌ・リーブスのひたむきな役作りを観る。

Bernardo Bertolucci監督。 現実界のストーリーと、説話内のストーリーが平行して進む形式である。 個人的には、キアヌ・リーブスの演じるシッダールタ王子もしくはブッダをもっと映像として見ていたかった。つまり、現実界のストーリーの方は私はどこかで似…

A Simple Plan (1998) - 崩れ行く犯罪を観る。

Sam Raimi監督。 雪の山奥で、偶然にも大金を見つけてしまい(額数億円)、警察に隠してその金を盗んだことで起こった悲劇を描く。ハリウッドにある典型的なストーリーと、典型的なカメラワーク、そして典型的な映画音楽をもっていて、想像の域を超えない映…

Mercury Rising (1998) - 子役の演技が劇的に上手い映画を観る。

Harold Becker監督。 子役のMiko Hughes、彼は自閉症の子供を演じている。この演技があまりにも上手いので、上映後、映画を観た観客が「どうやって自閉症の子に演技をさせることができたのか」と質問が来たそうである。ちなみに、この観客は自閉症の子供を持…

Leon (1994) - 豪華な俳優陣を観る。

Luc Besson監督。 Gary Oldman, Nathalie Portman, Jean Reno、いずれもが役にはまっているという豊かな映画。非常に恵まれているキャストである。 本作の悪役、Beethoven好きなのであるが、このクラシック作曲家はときどき悪役の代名詞として登場する。『時…

Single White Female (1992) - 背景にある絵画が印象的な映画。

Barbet Schroeder監督。 異常な性格を発揮していく女のストーリーである。自らのすべてをコピーされる、という恐怖を伝えてくる映画は希少である。また、結局のところ彼女がどのような病気であったのか、何に追い詰められていたのかが微妙に不明である映画で…

Eyes Wide Shut (1999) - 終わり方が洗練されている。

Stanley Kubrick監督。 Kubrickの中で一番きれいな画面である。観てすぐに原作小説を注文したので、届くまで正確な評価はしがたいが、どうもかなり原作に忠実であるらしい。ということは、今まである映画の中で最も難解な部類のストーリーであるのは小説に帰…

The devil's advocate (1997) - 映画史には残らないが名作だと思われた。

Taylor Hackford監督。 今日観ると、才能があるなと思わせる部分が多々ある。そろそろ公開されて二十年が経とうとしている。今日に原罪をテーマに取り扱ったのは、Lar von Trierの『アンチクライスト』が最後のように感じるが、どうしても原罪のテーマを直球…

Rumble in the Bronx (1995)- ホバークラフトでBronxを走り回る様など、圧巻。

Stanley Tong監督。 Bronx区での喧嘩というタイトルで、最終的にはホバークラフトで街中を走り回る映画である。 Jakie Chanのハリウッド進出成功となった記念すべき作品である。Anita Muiの演技がなかなか好感であった。若くして亡くなってしまったことが惜…