2000年代 普通 (好みで)
Sylvain Chomet 監督 かなりマゾな作品。ツール・ド・フランスに参加する選手たちがかわいそうに見えてくる。主題がひとつしかないのでわかりやすい。スタジオジブリの作品を見返すと、そこには複数の主題が常にまじっていることがわかる。そういうアニメ作…
Run Wrake監督 ハエを宝石に変えるidolが登場し、ジャムを与えるとどんどん宝石のイミテーションを作ってくれる。このストーリーに目新しさはなかった。新しいのは、登場する存在の上に「idol」とか「rabbit」とか、標識することである。
Rofusz Ferenc監督 最近観たJan Švankmajerの『Et Cetera』で、調教師が犬を鞭打つうちに、次第に犬になってしまう様を思い出した。そして、その作品では犬になった元人間は、鞭で調教されることによって、ふたたび人間へと戻るのだった。本作で示されるのは…
Michael Dudok de Wit監督 待ち続ける少女と、決して帰ってこない父。彼らの心の距離と現実のそれが隔たるから、センチメンタルが発生し、得てしてアコーディオンの音楽がそこを引き立てる。決して、本作の独創性ではなく、すでに確立した手法だ。本作は、そ…
Richard Linklater監督 『恋人までの距離』に比べると失速してしまう恋愛映画。持ち味であった長いショットが、切り返しショットにより無残にも切り刻まれた点が残念である。脚本は、女は喋りすぎ、男は喋らなさすぎ。ただし、これらの欠点があっても、冗長…
Lucky McKee監督 昆虫マニアのレズビアン、昆虫学教授の娘でありレズビアン、謎の虫。到底組み合わせようと発想すらしないテーマを、全て混ぜ込み、すると、対象同士の反発しあうエネルギーが発生し、その勢いだけで一時間を駆け抜けてしまう映画。
Dario Argento監督 一時間の尺では取り扱えるテーマの幅が相当に狭くなり、使い古された手法に、落ちが読めてしまうデメリットがある。本作は典型的と言って良いが、冒頭から異形の女の姿、これには度肝を抜かれ、Dario Argentoを感じずにはいられない。ホラ…
Zack Snyder監督 ゾンビ映画は、いずれ感染して、しまいにはゾンビになる人間を殺戮する一面がある。ということは、一般的には、ゾンビになりたくないと苦しむ人間性を捨象し、彼らを銃殺する人間疎外がある。本作は、ゾンビとなりかける妊婦妻といずれ生ま…
今敏監督 平沢進の音楽が素晴らしい。これにはまるか否かは、本作視聴後の満足度を大きく変えるだろう。作画には、そこまで良さを感じなかった私は、なおのこと音楽と世界観の一致に魅せられた。映画は、小説とは異なって、描写とは独立した芸術様式である音…
山口 雄大監督 夏目漱石の「夢十夜」のオムニバス映画。その十作目である。 多分原作のやりたかった方向性と、全く違った方向性になった。普通の作品である。 ところで、私は本上まなみの写真集を持っていて、外見が好きな女優トップ3に入っていた。それが、…
西川美和監督 夏目漱石の「夢十夜」のオムニバス映画。その九作目である。 普通である。原作特有の、ナンセンスなストーリーが、反戦という意味深い主題を付加されて、実写化されている。現代邦画の実写化において、反戦、家族愛、友情、何らかの主題を与え…
山下 敦弘監督 夏目漱石の「夢十夜」のオムニバス映画。その八作目である。 普通である。
天野喜孝、河原真明監督 夏目漱石の「夢十夜」のオムニバス映画。その七作目である。 オムニバスの中で唯一のアニメーションにして、最も私の中にある漱石像に近づいた作品。ということは、夏目漱石の「夢十夜」とは実写できる代物ではなく、アニメーション…
松尾スズキ監督 夏目漱石の「夢十夜」のオムニバス映画。その六作目である。 原作のモチーフを、ことごとく現代のモチーフに入れ替え、白黒映画とすることで古典らしさを演出、しかも原作の意図を間違えず再現している。良作である。
豊島 圭介監督 夏目漱石の「夢十夜」のオムニバス映画。その五作目である。 原作と全然関係がないが、精神が荒んだ夫と子供の様子は、キューブリックの『シャイニング』を思い出させた。(子供が、母親に向かって「REDRUM」を叫ぶ) もはや、作品は漱石の面影…
清水厚監督 夏目漱石の「夢十夜」のオムニバス映画。その四作目である。 普通。原作は夢を主題にしており、無気力的であり、社会のためにならず、崇高な主題を入れていない。しかし、本作はあえて反戦の主題を入れた。映画のストーリーには「意味」を与えな…
清水 崇監督 夏目漱石の「夢十夜」のオムニバス映画。その三作目である。 普通。幼児の顔は、あえて見せないという選択もあったのではないか。然るに、今回の作品は怪獣ショーのようである。(ちなみに第五夜の監督も、怪獣ショーのように演出した)
市川崑監督 夏目漱石の「夢十夜」のオムニバス映画。その二作目である。 ストーリーの落ちを足し、そのせいで、ナンセンスな作品になった。一方、原作も、ほとんど意味がよくわからない作なので、どちらにせよナンセンスな映像になった。
実相寺 昭雄監督 夏目漱石の「夢十夜」のオムニバス映画。その一作目である。 原作にはない要素を足さなければ、夏目漱石の「夢十夜」を映画として説得性を持たせることが難しい。本作は、時代を設定する道具として観覧車を足し、人の死という静寂を、一方で…
清水厚監督 普通。
Damian Pettigrew監督 フェリーニのドキュメンタリー。本人も、インタビュイーも抽象的な話だけ熱中して語り、彼が夢想家であり世界に対して論理的線引きを嫌ったことは伝わったが、あとは何が何だかわからない。「フェリーニ熱」を解毒するのではなく、むし…
Oh Ki-hwan監督 続くのか、終わるのかもわからぬ青春の愛を描き、写真におさめて終了するという、映画の教科書のごとき作品。よくできている。「オガムド-5感度-」のオムニバス収録作品。
Min Kyu-dong監督 20分程度ながら、なかなかに凝った作り。「オガムド-5感度-」のオムニバス収録作品。
Yoo Young-sik監督 今一歩勢いのでない新人女優が、監督と寝ることで大胆な性格になるのかと思いきや、他の女優と寝て覚醒するという面白い話。ホモではなく、バイであるのが良い。ホモは社会的に、良い未来を映画として描けた試しがないと思ってしまうのだ…
Hur Jin-ho監督 死んだ女との思い出が、彼女の香水とともに甦る。20分程度でうまくまとまっており、二人の楽しいエピソードとして室内でかくれんぼが行われる。それにしても、どうして香水はバーバリーを選んだのだろう。「オガムド-5感度-」のオムニバス収…
Daniel H. Byun監督 男は冒頭からセックスのことしか、いやらしいことしか考えていない様がよく描けている。というよりもその成功は、ナレーションの力である。最後に、女のナレーションを多少入れて、男の性に関する容態を小綺麗にまとめたのがよい。「オガ…
Marc Forster監督 カットが多すぎて、物語はわかるが兎にも角にも酔う。あまり視聴をお勧めしない。 『ヒットマン』でおしゃれヒロインとして活躍したOlga Kurylenkoが、今回のBondgirlである。
Martin Campbell監督 舞台があちこちに飛んで、どれもセットが凝っているので、中々おもしろい。140分超の意欲作である。
Quentin Tarantino監督 B級作品とは一線を画すアクションではある。もっとも、「007」シリーズのようなスケールの壮大さがなくて、戦闘が全てこじんまりしたキャンピングカーや豪邸、棺桶の中など、いまいち世界の広さを感じさせない。それが逆に魅力であっ…
Quentin Tarantino監督 すばらしい映画だ。全体を通した編集が見事である。実際たいした武術を見せていないにも関わらず、敵への殴打の瞬間をことごとくカットし、切れ目切れ目に効果音を挟むことで、すばらしい武術が実際に行なわれているように錯覚させて…