a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

2000年代 普通 (好みで)

The white Ribbon(2009) - 悪意を撮る

Michael Haneke監督 周りは自然で、かなり離れたところまで行かなければ別の町にたどり着かないような孤立した町の、人々の悪意を描く。それも、子供という装置を通して表現する。いかに、今回の作品は子供の表情を工夫していることか。ストーリーが進行して…

The Class (2008) - リアルを追求するということ

Laurent Cantet監督 物語の作り方が極めて独創的であるということと(ストーリーがではなく、映画製作のコンセプトとして)、一人の退学者を出させてうまく2時間をまとめたという点で、非常にうまい作品。ただし、私は本作を賞賛できるものの、二回観ろと言わ…

The Wind That Snakes the Barley (2006) - 撮り方がリアル

Ken Loach監督 戦闘の撮り方がよい。鑑賞者としての感覚では、戦闘を撮ることを前提として人物配置や建物が設定されたのではない。あくまでも空想的には地理上偶発して起こった戦闘を、うまく苦心しながら撮った、という印象がある。これは卵が先か鶏が先か…

The Son's Room (2001) - 癒す。

Nanni Moretti監督 著名監督であり、役者としてもその作品の中で活躍する人はあまり多くない。Orson Welles、北野武、、など数えるほどしかいない。そして、Nanni Morettiも当然加えてよいと思う。 本作は、カットの仕方が好みである。息子の死を乗り越える2…

Calvaire (2004) - いたって普通

Fabrice Du Welz監督 これが例えば70年代や80年台の映画であれば評価した。21世紀にもなってこのクオリティとなると評価できる点が特にはない。

Giallo (2009) - 普通

Dario Argento監督 安定したDario Argento監督の作風である。その腕は全く衰えていないが、一方で新境地を開拓している風でもない。良くも悪くも彼の中では普通の映画であった。

Pan's Labyrinth (2006) - 現実と逃避の狭間で。

Guillermo del Toro監督 一般的なダーク・ファンタジーとして考察を終いにするにはあまりに雑である。ファンタジー映画は基本的には裕福というイメージがあり、それは精神的にも経済的にも恵まれた少年・少女が不思議の扉を幸運にも見つけるといったものであ…

Innocence (2004) - 普通

Lucile Had?ihalilovi?監督 2000年代になって、無知であり無垢である少女とその対極にある大人の女が登場する神秘的学園ものを今回観たわけであるが、目新しい手法やテーマがあったわけではなかった。主題が漠然と設定されるというその手の学園ものの手法を…

Tim Burton's Corpse Bride (2005) - 無感動

Tim Burton 監督 80分足らずの作品という性なのか、人物背景の描写不足が目立った。Corpse Brideはまだしも他のいわゆる生者たちの人物背景がわからないので、あまり魅力的なキャラクターたちではない。どんな展開になろうともあまり興味がわかず、結局Corps…

The Other Boleyn Girl (2008) - 主演がちょっと。

Justin Chadwick監督 息つく暇もない演出によって画面に釘付けになる。一方で主役の二人に難ありか。宮廷に入り王に取り入ろうと善処するもその甲斐なく打ち破れていく悲劇を演じる上でNatalie PortmanとScarlett Johanssonが良い仕事をしたのかと質問されれ…

GOEMON (2009) - 美術一級

紀里谷和明監督 これは世界から見た戦国日本のイメージという他なく、日本人離れした美術感覚で戦国時代を描く。甲冑は大鎧ではなく完全に西洋の甲冑。邦画をおそらく紀里谷和明はあまり観ていないだろうし、おそらく邦画を好きですらないと私は想像している…

STAR WARS EPISODE II: ATTACK OF THE CLONES (2002) - 脚本が良い

George Lucas 監督 クローン戦争勃発と、アナキン・スカイウォーカーの堕落が同時並行で描かれるというシナリオが良い。どちらかに比重が偏るということも起きていない。必要なシーンを撮ってすぐにカットして次のシーンに繋げていくからテンポが良い。

Star Wars: Episode III ; Revenge of the Sith (2005) - 圧倒的な視聴感

George Lucas 監督 劇場公開の時には私は中学三年生で、本当に興奮したのを覚えている。スターウォーズは揺るぎないブランドになってしまって、どんなに続編やスピンオフを作っても興行収入が見込めるから、10年後の今でも色々作っている。その変わり、興行…

The Dybbuk of Haifa (2007) - 映画館に事件。

Amos Gitai監督 映画館が空襲を受けてしまう。叙事的な作品である。主人公が特にはいないから、画面を重ね合わせて漠然と撮影しても大丈夫なのである。平和であるから映画が楽しめる、という月並みな感想しか思い浮かばないものの、メッセージ性はある。

Jurassic ParkIII (2001) - 本来の恐竜。

Joe Johnston 監督 ポケベルの音が、スピノサウルスの出現という恐怖に重ねられて演出される。教科書のような優秀な演出である。本作の恐竜は猛獣のようである。怖いようで、どこか怖くないようでもある。ここまで観て、一作目と二作目の恐竜は猛獣というよ…

Monsters, Inc. (2001) - 良さは会社員らしくないところ

Directed by Pete Docter モンスターがある女の子を自分達の世界につれてきてしまったので、人間の世界に戻しに行こうという話。でもサリーもワゾウスキも、子供の前で必死に「大人」を演じようとしているのだ。そして上司の陰謀に、正義感から立ち向かって…

Ratatouille (2007) - ねずみのレストランのアニメーション

Directed by Brad Bird ねずみが冴えないコックに代わって名料理を作るという話。たのしいなぁたのしいなぁと思って観る。お決まりに忠実だから安心して、あぐらをかいて観れる。アニメという手法は料理も綺麗に描けるのだと感心する。 ピクサー・アニメーシ…

Happy Ending (2007) - 映画を観ない

Ken Loach監督 究極的な皮肉の作品で、映画を観ないというエンディングを用意した。それは良いが、タイトルがあまりにもブラック過ぎないか。

Zhanxiou Village (2007) - 盲目でも「観れる」ということ。

Chen Kaige監督 目が見えない人でも映画が「観れる」という。他の子供はチャップリンを観て大喜びして、チャップリンは目で観ないと笑えないはずであるが、それでも雰囲気を全身で感じている子供の姿があるではないか。その雰囲気は、映画座でないと感じるこ…

War in Peace (2007) - 戦争映画の残酷

Wim Wenders 監督 ようやく紛争がひと段落したアフリカで、映画がようやく観れるようになった。そんな平和な年に流れた映画が、戦争映画であったという皮肉な作品である。未だに戦争映画はよく作られているが、それは不幸を食い物にして娯楽を作っているので…

5,557 Miles From Cannes (2007) - 映画が普及していない世界

Walter Salles監督 トリュフォーの『大人は判ってくれない』を上映する映画座の前で、ブラジル音楽的なものを流す。映画座に入るでもなく、「ポルノ映画かなにかか」といって立ち去る。つまり映画を観る文化が浸透していないのだ。カンヌから遠く離れた地で…

Sole Meeting (2007) - 普通の作品

Manoel de Oliveira監督 これはいたって普通の作品である。

Awkward (2007) - ナンセンス劇

Elia Suleiman監督 ナンセンスを基調にした3分間である。あまり映像に華が無いと思うのだが。

The Last Dating Show (2007) - 楽しい脚本

Bille August監督 よく3分で出来たと思うほど滑らかな脚本。すばらしい出来である。監督や脚本家の若き日の実話なのかどうかはわからないが、悲しいはずの思い出が、映画への愛情という形で結集してどこかハッピーエンドのようになる。

Where Is My Romeo? (2007) - 映画を観る女の顔とは?

Abbas Kiarostami監督 固唾を呑んで映画を観ている観客の表情を映す作品。これは上手い着想だと感じるのは、監督が映画館というテーマを上手く生かしたことである。映画館であれば沢山の表情が撮れる、自宅で観ている人であれば一人の顔しか撮れない。『それ…

I Travelled 9000 km To Give It To You (2007) - 『アルファヴィル』のオマージュ

Wong Kar-wai監督 中国語では監督のことを「導演」と書く。 それはそれとして、ゴダールの『アルファヴィル』をオマージュにして、ディテール・ショットで重ねていく手法の滑らかなこと。とても自然で、上手い掌編である。

At the Suicide of the Last Jew in the World in the Last Cinema in the World (2007) - 長いタイトル

David Cronenberg監督。 ほとんど金をかけていない映画で、動かないカメラで、工夫できる余地は会話やタイトル以外に無いのである。しかし、その会話もタイトルも、あまり面白いものではなかった。アイロニカルではあるけれど。アイロニーが単独で立っている…

No Translation Needed (2007) - 謙虚な監督

Michael Cimino監督 ミュージックビデオを撮って、あまりに歌手が美しいので嫉妬からビデオをぐしゃぐしゃにする監督。ユーモラスで茶目っ気のある監督であった。きっと現実も優しい監督なのだろう。

Cinema erotiqur (2007) - エロチックの幻想

Roman Polanski監督。 ユーモアのある作品。エロチックな映画だから男はきっといやらしいことをしているに違いない。そう思ったとき、エロチックな映画という言葉の意味を考え直さなければならない。

First Kiss (2007) - 『カイロの紫のバラ』か。

Gus Van Sant監督 『カイロの紫のバラ』の要素がある。こちらもなかなか洒落ているかもしれないが、いまいちぱっとしない。少年が全裸ならまだ面白かったと思うのは、私が純朴ではないからだろうか。