a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

2010年代 普通 (好みで)

My Week with Marilyn(2011) - 一人のスターの背後には何百もの・・・

Simon Curtis監督 今回観てわかったのは、一人の俳優が画面で演じる背後には実にたくさんの協力者がいることである。たとえ不能な役者であっても、潜在的なファム・ファタールぶりを見せても居ることに変わりはなく、すなわち今回のマリリンである。背後には…

リトル・マエストラ (2013) - 好きではない。

雑賀俊郎監督 私の邦画チョイスが悪いのかもしれないが、邦画は大抵群像になりがちである。それも割と特徴的な群像の型に落ち込むことが多く、西洋の群像とも違う。今回のように田舎に誰か主人公が単身で乗り込み、その主人公が田舎の人間たちと群像を繰り広…

Hugo (2011) - 満願

Martin Scorsese 監督 かのモヒカン・デニーロを『タクシードライバー』で生み出した過激な天才監督が、ここまで爽やかな視聴後感覚の映画を作るとは! しかも、ジョルジュ・メリエスを実際的な主人公にして自らの作風に順応させてしまうあたり、本作はまさ…

リュウグウノツカイ (2013) - 邦画は「転」から見せる。

ウエダアツシ監督 群像劇としてうまく撮った。1時間程度の尺の中でそれぞれの女子高生が魅力的に映るように撮ることに成功した。そのためには、悪役としての冴えない教師や、反魅力的とも取れるあのマゾな男子高校生(名前は忘れた)がいかに冴えないかを映す…

Rhino Season (2012) - 満腹の1作

Bahman Ghobadi監督 独創的な演出のon parade (オンパレード)で映画通を腹一杯にさせる作品。すべてのシークエンスに一切の妥協がなく、どれもが新しさと恐怖に満ち溢れている。シークエンスは大胆に繋げ、観客が話の筋を多少見失うことすら恐れない。しかし…

The Salvation (2014) - 新しい雰囲気

Kristian Levring監督 台詞が少ない割には音楽と効果音の比重が多く、不思議な視聴後感をもたらす。今までのマカロニ・ウエスタンにはなかった感触で、陳腐なタイトルと脚本を見事に料理した。デンマーク映画は、勧善懲悪を好む日本人にもなじみやすい。Kris…

Last Knights (2015) - 紀里谷はもうだめだ。

紀里谷和明監督 もう冒頭の入り方でわかる。本作が失敗であることに。『CASSHERN』の頃の方がまだ勢いはあったのだけれど、何か妙な気負いがあるのかどうかわからないが、本作は成功しようという野心が見え見えなのであった。これは頂けない、B級映画。役者…

Gainsbourg: A Heroic Life (2010) - CGへの反逆

Joann Sfar 監督 ついにこんな映画を待っていた。2010年代に乗ってもなおCGに頼らない映画である。監督は漫画家としても活躍しているそうであり、アニメーションが登場するが、それらと現実との融合の様が見事である。 映画の面白さや芸術性が単にCGという技…

STAR WARS: THE FORCE AWAKENS(2015) - アメリカ人監督がまさかのアメリカ映画かぶれ

Jeffrey Jacob Abrams 監督 私、J.J Abramasが好きではないのだ。観てみたらやはりつまらなかった。彼は脚本家としてキャリアを積んできて認められているけれど、それ故なのか因果なのか、アメリカB級映画かぶれした脚本ばかり好んで書くのである。本当に安…

Young and Wild (2012) - 映画という媒体の未来

Marialy Rivas 監督。 『アデル、ブルーは熱い色』というレズ映画が出て、私はあまり好きな作品ではなかった。青い髪をしたレア・セドゥがあまりにも奇抜すぎて、絵に描いたような主役風不良で、作品全体の斬新さを衒ったようで陳腐にみえた。 本作『ダニエラ…

Jurassic World (2015) - 非常にうまい現代版「ジュラシックパーク」

Colin Trevorrow 監督。 ジュラシックシリーズの主役は、実はいつもラプトルなのである。前作のラプトルは猛獣のようになりすぎ、本作のラプトルは人間味をつけすぎた。人間とアイコンタクトをするラプトルはあまりに不気味である。とはいえ、『ジュラシック…

How to Train Your Dragon(2010) - 普通の作品

Directed by Chris Sanders, Dean DeBlois ドリームワークス・アニメーションはピクサーよりは毎回制作費を下げて、より量産型の映画製作をしているように感じるが。本作は普通の作品である。やはりアニメの醍醐味といえば空中浮遊と飛行の描写力にあって、…

Monsters University (2013) - 普通の作品

Directed by Dan Scanlon 前作はサリーとワゾウスキが子供の前で必死に「大人」を演じようとしたが、本作は別に普通の子供になっていて、彼らの悩みもストーリーもよくある学園ものを踏襲しただけになった。前は大人の映画だったのが子供の映画になってしま…

へルタースケルター(2012) - 映画の撮り方を知らない。

蜷川実花監督。 全身整形をした沢尻エリカの部屋は、赤を基調にした芸術的ともエキゾチックともいえる空間である。背景には不自然に大きすぎるリップの写真、居間を抜けると彼女の写真が壁にずらっとかかっている。全てが彼女の過去・現在・未来、そして人間…

Moonrise Kingdom (2012) - 凝った配置を徹底する映画を観る。

Wesley Anderson監督 子供が出ているからといって映画が子供だましなのではない。むしろ本作では高度な技術が続いており、十分に大人な映画である。単純なカメラワークと強引なストーリーによる映画の方が子供だましであると感じさせる。 登場人物が直線状も…

Magic in the Moonlight(2014) - 雑になってしまった映画を観る。

Woody Allen as director 考えたことを、一字一句声に出さないではすまないらしい。本作には、ひとりでカウンターで酒を飲み、思考にふける時間は一時も無い。常に画面には二人存在し、Colin Firthは思っていることを滞りなくしゃべるためには、かならず母親…

Adieu au Langage (2014) - 技量の衰えないGodardを観る。

Jean-Luc Godard as director 最後、二輪の華が映し出され、背後を車が走り去ると同時に、子供が生まれる。これは映画独特の暗喩である。モンタージュ文化からくる二画面性から発生した暗喩である。 Godardは映画の進化の方向を予知してか、結果的に先取りす…

Spectre (2015) - 大量の爆発を観る。

Sam Mendes監督。 公表時点で歴代最高の制作費と、最長の上映時間である。大量の爆薬を使わなければならなかった理由は、一体どこにあったと言うのだろう。映画の撮り方にではなく付加価値の方に観客や広報の目が行ってしまうのは、映画が豊かだからなのか貧…

Wild Things : Foursome (2010) - 女が入れ替わり立ち代りのストーリーを観る。

Andy Hurst監督。 Wild Thingsシリーズも遂に四作目を迎え、ストーリーの組み立て方はそのシリーズとまったく同じである。放蕩息子が居て、父の莫大な遺産を継ぐ。しかし、その遺産は遺言によりほとんどが得られないことがわかる。次に放蕩息子にレイプされ…

Holy Motors (2012) - 贅の限りを尽くした、映画未来への希望の予感を観る。

Leos Carax監督。 ここまで、画面のひとつひとつの構成が綺麗な映画は稀有である。昼と夜を明確に意識して使い分け、特に夜のパリの質感は監督の得意とするところで、本作で芸術の域にまで達した。ネオン灯のオレンジ、自動車のキセノンライトによって表現さ…

The Great Gatsby (2013) - 憎たらしいGatsbyの表情を観る。

Baz Luhrman監督。 何が一番良くないのかといえば、ユーモアの要素がゼロである点である。驚くほどに、まったく無い。装飾が派手か否か、役者の表情をdetail shotで撮るのか否か、そのような微妙な振れ幅がある要素ならまだしも、ユーモアの要素を入れる気が…

思い出のマーニー (2014) - 女同士の愛情を観る。

米林宏昌監督。 どことなく、中盤までのストーリーがレズ映画のそれと似ている映画。登場人物の性格から、ストーリーの運びまでそっくりである。言い換えれば、未成年や子供であっても、大人と同じ感情表現が可能であるということの証明である。 ストーリー…

Le Havre (2011) - 濃縮される映画を観る。

Aki Kaurismaki監督。 緻密にストーリーを構成する監督の、かなり緻密に組み立てられた作品。というのも、本作は90分程度の長さしかない。そこに、不治の病とそれを夫に隠す妻、移民問題と移民を隠れて支援する主人公と近所、という二つのシナリオを混在さ…

Pina (2011) - 何かしらの示唆を与えてくれる作品を観る。

Wim Wenders監督。 映画として、ストーリーを持っているものではなく、評価できるものではない。唯一、映画音楽を流し続けているから、これはダンスのドキュメンタリー映像なのではなく映画としての体裁を持っている。これが無音であったら、完全にドキュメ…

Only Lovers Left Alive (2013) - 現代感覚のドラキュラを鮮やかに表現した映画を観る。

Jim Jarmusch監督。 とても良い。演出が大胆で、役者は演技が上手いかどうかではなくその素地が生かされているような印象。「youtube」「iphone」という最近の時代を象徴するモチーフが使用されている。その時代を象徴するモチーフを映画に取り入れることが…

Sand Sharks(2011) - 必ず仲が悪い登場人物たちを観る。

Mark Atkins監督。 この手の映画にはお決まりのことで、登場人物同士は仲が悪いといったものでは なく、全員口が悪すぎるかもしくは短気である。金の亡者やマザコンも多い。い つでも口論になるようにしてチームを分裂させたら、はぐれた者から一人ひとり 食…

From Paris with Love (2010) - 楽しそうなJohn Travoltaを観る。

Pierre Morel監督。 Luc Besson製作になると、映画好きであるからなのか、台詞に映画タイトルがい くつか入ることになっている。 主人公がフィアンセと楽しい夜にまさに突入しようとする時、指令が入るやら相 棒から電話がかかるなりで、その夜がお預けにな…

Sharknado 2: The Second One(2014) - まさかの続編を観る。

Thunder Levin監督。 元より破天荒な映画であったのだが、人気であったらしく続編が作られていた。 この映画は、人々がのうのうと観光しているところに、サメ台風がやってきて人 々を食うので、元映画の続編なのか姉妹版なのか判断に迷うところである。サメ …

The Sorcerer's Apprentice (2010) - 無理している映画を観る。

John Turteltaub監督。 登場人物がやや少なく、ありきたりなストーリーを90分程度で終了する短縮版の ような映画である。CGや登場する道具が面白いので、画面を楽しく観れる。短 縮版でも受け入れられるということは、この手のストーリーが一般的に広く定…

Rock of Ages (2012) - 残念な画面を観る。

Adam Shankman監督。 観ていて失望したのは、魅力的な映画にするために必要となる画面の撮り方が理解されていないということであった。俳優は決して難易度の優しい演技をしているわけではなく、また本来は魅力的に立ち振る舞っていたような印象である。しか…