Andrei Tarkovsky監督 人体浮遊のシーンが美しい。現在までに観た映画の中で、観念的にもっとも優れたワンシーンを持つと思われた。背景の色味から、音楽、俳優たちの表情まで、すべてが調和している。この調和の仕方は奇跡に近い。
物理学者が出て来る。Andrei Tarkovsky監督のSFにはなにかしら学者が登場するのが必須であるようだ。主人公が悩むという行為が、物語に必要になってきている。登場する人物は、心的活動を強いられていて、ストーリーは時間軸的に途切れ途切れに端折られて綴られるために難解に見える。
こういう難解なストーリーでは、長まわしする方が逆に観客の興味を長く引き止めるかもしれない。淡々と形而上なストーリーを追われては、見る側としてたまったものではない。
純粋性に還元させる、ということが一種のテーマとなっている作品。記憶に捕われの身となる、人間の問題について焦点を当てている映画である。