Andrei Tarkovsky監督。彼の最後作。
登場人物が、物質的進歩と精神的進歩が協調を欠いていると述べる。真っ暗な部屋の中で、TVから開戦宣言が流れ、主人公は家や家族を犠牲にしてでも開戦前の日々にもどしてほしいと祈る。ある願いのためには、なにかの犠牲が必要である。言い換えれば、犠牲の伴わない祈りでは意味がないのである。
Tarkovskyの精神性は、実際にカトリックの影響を大きく受けている。もっとも、ロシアはもっともカトリックの文化を色濃く継承している国なので、その意味でいえば彼は非常に”ロシア的”であるだろう。
本作も、祈るという行為をテーマにしている。物事を犠牲にするという姿勢を、プレゼントで暗喩するシナリオはすばらしい。
希望を次の世へつなげた作品である。