a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

L’Age d’or /黄金時代(1930) - バイオリンでドリブル。

Luis Bunuel監督。彼はSalvador Daliと共同で作品を作る機会を持っており、本作もそのひとつである。

ところで、近年Woody Allenの撮ったMidnight in Paris(2011)では、役者扮するBunuelとDaliがレストランで待ち合わせをしており、知り合いのような既登場してくる。

前作の雰囲気を強化したような中編。バイオリンでドリブルし、女は大理石の石像の足に発情。行動の目的としての対象物がしょっちゅう入れ替わる。

商店のショーウィンドウに飾られている女の肖像画をみて、その女の居住地までシークエンスが一気にとんでいく。こういった演出は割と映画が得意な領域で、物同士をかさねてショットをつくることで容易に表現することができる。議論すべきなのは、そういった時空間の移動が物語に必要なのかどうかである。わざわざ時空間を飛ばすのであるから、最終的には制作者の意図によってそれらがある一点に収束しなければならない。ただ、本作においては、女が胸の谷間をさわるショットと、バイオリンをビブラートにする左手が重ねられたりと、あえて混乱させるようなショットも存在する。このように、あえて異質なものを重ねるという違和感をスクリーンに実際に存在化させるのが、初期のBunuelのsur realismである。違和感が映画として成り立っていることが実は難しく、物語が崩壊しない絶妙に安全なバランスで行うさじ加減が本作の凄さである。

本作からわかるとおり、二つの異なる空間を同時並行で撮ることは、最終的な収束を意味している。これは以降の映画においても普通に現れる。