a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

東京物語 (1953) - 家族の絆が喪失し、そして再生する物語。

小津安二郎監督。

人物の配置、奥行きの撮り方が非常に綺麗な作品。どのショットを静止画として取ってきたとしても、写真として成立するようにみえる。これがどういうことかというと、もっとも優れた映画にしかなし得ない、芸術的な映画の域に達しているということである。もし、ストーリーだけを追えばよい作品であれば、部屋の縁側の先にみえる景色を工夫したり、病床の母の手前においてある蚊取り線香がだんだん小さくなっていく細かな道具、障子の手前におかれる菊など、そこまで気にはかけないものである。

話す人物をおもいきり正面に持って来てしまって、会話する表情をつぶさに撮影する。人物は一人の場合が多いが、二人もってくる場合も、時には三人がいる場合もある。話している顔を真正面から撮影するのが、本作の一番の特徴であろう。

水面の反射光で照らされる提灯。そう、提灯を随所に取り入れているのも本作の特徴である。

人を想う気持ちについて、普遍的な内容を取り扱っている。主に家族についての話で、母親が死去することによって、家族の絆が再生し、もしくは喪失する様子を描いている。