James Ivory監督。
クラシックピアノを弾く英国のお嬢さんが、肉体的な恋愛のよろこびを知っていく話。彼女はベートーベンの曲をピアノで弾くが、その音楽への情熱を彼女の人生へと傾けたら、音楽と人生が融合し彼女の人生はより豊かになるであろう、と。10代の彼女の中で、人生のよろこびと音楽が融合するのである。
このように書けばロマンチックに聞こえるものの、この映画で映していることはきわめて現実的で、写実的な英国女の実際であり、人間という性の実際である。古典芸術のような高尚さとは一線を画している、より単純であるが故に複雑で、そして力強いものである。そんな気張らない姿勢が、この映画の良さであろう。
人が喋っているシークエンスで誰かがピアノを弾いているという構図は、どうもヨーロッパの映画においてよく観られるように思う。イギリス映画である本作にも、在る。
若干20歳のヘレナ・ボナム=カーター Helena Bonham Caterを観れる作品でもある。