a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

A Room with a View (1986) - 錚々たる芸術の前に佇む人間の愛情の本質とは。

James Ivory監督。

クラシックピアノを弾く英国のお嬢さんが、肉体的な恋愛のよろこびを知っていく話。彼女はベートーベンの曲をピアノで弾くが、その音楽への情熱を彼女の人生へと傾けたら、音楽と人生が融合し彼女の人生はより豊かになるであろう、と。10代の彼女の中で、人生のよろこびと音楽が融合するのである。

このように書けばロマンチックに聞こえるものの、この映画で映していることはきわめて現実的で、写実的な英国女の実際であり、人間という性の実際である。古典芸術のような高尚さとは一線を画している、より単純であるが故に複雑で、そして力強いものである。そんな気張らない姿勢が、この映画の良さであろう。

人が喋っているシークエンスで誰かがピアノを弾いているという構図は、どうもヨーロッパの映画においてよく観られるように思う。イギリス映画である本作にも、在る。

若干20歳のヘレナ・ボナム=カーター Helena Bonham Caterを観れる作品でもある。