園子温監督。
監督は、ただ女の子の格闘シーンをとって、合間に白のパンツが見えるシーンが撮りたかっただけなんじゃないか。そう思った作品である。
本作を観たのは目黒シネマであるが、そこでは雷音上映といって、通常よりも体感で1.5倍ほどの音量で上映する。これは園子温が映画館にその演出を依頼しているとのアナウンスがあった。なるほど、近年時々みかける「爆音上映」という手法であり、音楽ライブ用の音響機器を使用するスタイルである。最近であれば、第七回恵比寿映画祭においても、同様の試みがあった。表現手法としては何という事はなく、単に重低音がより響くというだけである。ストーリーの色気や、視覚効果としての画面体験が向上するものでは無い。
アメリカのB-movieと言われたら、Steven Seagalが出ているものでも、Jean-Claude Van Dammeが出ているものでも、星の数ほどあるのである。それが日本のB級映画といわれるとなかなか出てこない。そんな折りに本作を見て、まさに日本におけるB級映画の階層とは、本作のようなものを指すのだと考えた。
本作の残念な一点は、格闘シーンにおいて道具を使う視点が無かったこと。無数に格闘シーンがあったのに、すべて殴るか蹴るかのどちらかで戦っており、戦闘シーンとしての不自由さが顕著であった。また、独特の世界観を構築しているにも関わらず、俯瞰ショットで世界を映すという旨味を使わなかった点も、なぜなのか疑問に残る。