a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

Airport (1970) - Distribution d’ensembleのなかなかな映画。

George Seaton監督。

Jean Seberg、Helen Hayesなど有名な役者揃い。Jacqueline Bissetは本作後あたりからがより有名になっただろうか。本作のような構成をensemble castと英語で呼んでいるそうだ。明らかにフランス語源でまざっていて、気持ちのわるい単語である。フランス語ではDistribution d’ensembleという。日本では過去作品の名称をとってグランドホテル形式。つまり、ひとつの場所にストーリーを持つ人物を複数集めて、ひとつの事件で全員のストーリーを変化させる。世界は数多くの人間のあつまりによって出来ている、という事実を反映させた形式である。『駅馬車』やそれにインスピレーションを得た『網走番外地 北海篇』も、その括りに入る。

問題なのは、より現実的感覚に近いDistribution d’ensembleが、はたして映画の中においてドラマチックな説話構成力に乏しい。私はこれらの作品よりは『カサブランカ』や『Blue Valentine』の方がドラマチックだと感じている。

SebergおBurt Lancasterが、Hayesの無賃乗車を責める場面など、映画史に残るなかなかのシークエンスであるように思う。Hayesが去り、Sebergがくだをまいている途中、Lancasterが女の肩を抱いたところで、ストーリーが変化したように思う。ストーリーが複数平行しているのがDistribution d’ensembleの特徴であるが、1ショットの中でストーリーが切り替わる瞬間は、ここで観察することができる。