a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

The Apparition(2012) - カビが生えてくるというホラー。

Todd Lincolin監督。

自宅の部屋にカビが生えてくるという、奇怪現象が起こるという売りのホラーである。

カメラワークについて、映画におけるカメラは世界を写すのではなく、むしろ映画世界を制限するために存在している。実は、カメラの役割は映画における「制限空間」の創出を行っている。それは登場人物を開け放たれた世界へと導くものではなく、ストーリーが発生してほしい空間から外には出さないよう、見えざる衝立を発生させているようなものである。

本作においては、怪奇現象が発生する家という空間に、登場人物はいつまでたっても拘束され続けている。警察を呼ぶことで、彼らは怪奇現象の発生している土地からは逃げることができるにも関わらず。もしくは知人の家へ逃げ込んだり、いくらでも他の方法があるにも関わらず、自宅の敷地内でテントを張って夜を明かす始末である。これは、ストーリーが展開するべき空間に、登場人物たちがぐだぐだと居続けることを意味しているが、その居座りに一役買っているのが、カメラである。

女が下着姿で逃げ惑うシークエンスがある。女だけ下着姿なので色気があるが、いつから映画における性別の役割に、決定的な差異が発生してきたのだろうか。