Johe McTiernan監督。
Steve Wangが手がけたプレデターは、いままでの宇宙人とは様相が異なる。『21世紀宇宙の旅』のような摩訶不思議な存在ではないし、大量殺戮のみを目的にしているような機械でもない。どうも、プレデターは人間を鏡に写したようないでたちをしている。今日まで、人間という存在とは根本的に違う存在、それは霊でもよいし宇宙人でもよいのだが、とにかく人間とはまったく形質や意思が異なるものが敵として用意されては、映画世界へ来襲してきたのである。それが、1987年の本作によって、来襲するものに多少なりとも人間性を反映させることが、主流になりつつあるように思う。かといって、来襲する存在の凶暴性や人間への害悪性が弱められるということは一切ないが、人間は敵の瞳の中に人間自身を見出しつつある。それは、敵は人間の心そのものであるという事実を理解しはじめたということに他ならない。21世紀とは、精神的には大変な時代になってきたものだ。
脇道にも程があるが、近年の邦画、特に染谷将太が得意とするような2012年の『ヒズミ』にみられるような、二重人格ではなく一人の人格そのものの中にある暴力性が、テーマとして取り上げられつつある。