廣木隆一監督。
確かに歌舞伎町には韓国から来て仕事をしている人が多いという着眼点は良いが、映画世界の中でいきなり韓国語でのシークエンスを続けてきて驚く。複数の独立したストーリーが、ひとつのストーリーとして収斂するような作品ではない。それぞれ独立したストーリーが、そのまま編集されて一本にされたような作品であって、それぞれのストーリーは隣人のストーリーを多少撫でるだけである。
染谷将太という俳優が、これは依然『ヒズミ』に主演していた際にも触れたことであるが、周囲に蔓延する暴力を体内へ吸い込みつづけて、そして暴力で一杯になったところで堪らなくなって走り出すという役を演じる。これが時代柄であるというか、流行であるというか。登場人物の韓国人は二人して幸せそうにして終わるのに、一方でその日本人たちは幸福な将来というものはぼやけていて見えにくい。流行とくくるよりは、日本人の精神的に暗い面が出たような気分がしなくもない。