Stanley Kubrick監督。
Gerald Fried音楽制作。
音楽制作は前作『恐怖と欲望』を担当した人が続投している。
ボクサーであるのに、マネキンや槍などの道具を駆使して戦っており奇妙さがある。
男がギャングたちと死闘し、その後に恋する女と結ばれるというロマンチックの王道を、本作で観ることができる。まさに映画の教科書である。しかしよく考えてみれば、このような作り方は「男目線」での構築の仕方である。主人公を延々と追い続けてくれる親切なギャング死闘の後に運よく駆けつけてくれる女、彼らは主人公がロマンチックな空間に居続けるための存在である。そのためには、現実であれば到底おこりえぬ行動も起こし、それゆえに彼らの人格、感情が多少なりとも非人情的となるのもいとわない。
一方で音楽に目を向ければ、女が登場する際に流れる彼女のテーマは、これは男が女に対して抱いている音楽的イメージである。そして、それは男目線の音楽の作り方である。