Louis Malle監督。
並の映画よりは明らかにカメラワークが上手であるが、やはり欠点も多い。冒頭でJuliette Binocheがパーティーで登場した場面、普通の人間は見ず知らずで本作の画面のように非常に近い距離まで寄って会話することは、まず無い。それは、会話する両者をいきなりひとつの画面に収めた結果なのであって、多少カメラを引いて会話する両者をそれぞれ一画面ずつ分けて、最終的にひとつの画面に合わせた方がよかった。
本作はストーリーを描写するために急いているようにみえる部分もあり、ラストはいきなり小説調になる。ストーリーを優雅に表現することの方が、映画が一貫するためには重要である筈だ。ただし、普通の女になったBinocheというシーンを空港で再現するのは、なかなか難しい。すくなくとも映像に、「普通の女」という形容詞を後づけすることは、かなり実写しにくいように思う。