Leos Carax監督。
恋愛に対する非常に真面目な映画である。よく見かけるパターンの中では、男と女が出会いそこでいきなり裸になって抱き合うのであるが、本作は恋愛を描く画面の上で女の裸に頼っているものではない。互いに身体に不具合があるからという理由で愛情が生まれたという見方も無くはないが、仮に身体への同情心が恋愛感情へと転化したとしても、身体の異常が治った状態で後にまた会うわけであってこれは上手いストーリーの仕掛けである。恋愛は不具の上に成り立つのではなく、不具であっても自分に正直に自由に生きていた二人の精神性の上に生まれていて、あまりにプラトニックなので観ていて恥ずかしくなる。そして二人は、ポンヌフの花火によって救われたのである。
ポンヌフ橋の花火のシークエンスは、非常に綺麗な画面である。rock musicのようなものに合わせて右の方向へとダンスをしていくのであるが、その後は『The Blue Danube』に乗って踊る。左へ右への往復運動で、その背後には非常に綺麗な花火である。