Federico Fellini監督。
大画面で観たい映画。演者がうしろを向いた状態でふりむく構図を豊富に含んでいる。映画のストーリーはすべて具体的なものかと考えており、500作品以上を続けて観ているとそのために映画の可能性について多少飽きてきたところで、本作はあらためて映画の奥深さと興味を私に示してくれた。というのは、本作は限りなく抽象的なものを対象として、具体的なものごとの可能性が進行するというよりはむしろ主人公の頭の中のアイディアが抽象的なストーリーとして進行しているような印象を受ける。最後の大団円は、後の映画に多くの影響を与えたとされており『エヴァンゲリオン』などのような多少抽象的な物事をストーリーに含む映画の観客が感動する点の一つとして応用されていて、その実は突拍子もない飛び出てきた脳内のアイディアの一つに過ぎないのではないか。また、『アンダーグラウンド』のラストとも似通った構造があるように思われ、やはり本作は偉大である。
もし映画鑑賞大国の日本に生まれたのなら、本作を一回も観ないで死ぬわけにはいかない。