踊りを入れたシーンが上手い。『フランティック』のときにみせたEmmanuelle Seignerのダンスホールでのダンスは、ホールの小ささとその中でごったがえす人いきれの非日常感を、瑞々しい感性で映像化していた。そのときに私が感じた感動を、本作においてもまた感じることができた。Roman Polanskiはダンスを撮ることにかけては右に出るものが居ないのである。『パルプ・フィクション』でみれるダンスは、演者二人にフォーカスしているが、一方で撮影のピントとしても実際の距離にしてもダンスフロアと客席を映像的に切り離している。Polanskiはそこを一体にしてみせる。