風景をなめまわすような主観ショットが印象的。真理や人間的尊厳を音楽として追究する中で、ベニスで出会った少年の絶対的美に出会ってしまい、その美を自らの哲学に統合できずに居る。なぜなら主人公は絶対に老人であり若さは戻らないから。その様がうまく映像化されている。顔に白粉をつけた老人の真っ白のスーツ姿は、少年の健康的なストライプ柄の水着姿と対照的である。主人公はかなり無理をしていているが、彼がなにを人生に求めたかがわかって観ていれば、最後に死んだときに、白粉をつけた彼が美しくみえる。
音楽をMahlerに絞ってかけているのも印象的になってよい。