a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

Underworld(2003) - SF映画は賞味期限がある。

Len Wiseman監督。

未知の感染症によって人類の統合性が失われていくのだと思いつつ、このような映画はだんだんと廃れていく直感はある。あまりにも続編を作りすぎた『バイオハザード』が終に終幕するとき、未知の感染症を主題とするSFも終了するのだ。というのも、本作を含めそういう映画はすくなからず生命や細胞、医学への未知なる恐怖のために存在している。本作に登場したバイオ企業の名前が「ANTIGEN」であることはその皮肉である。再生医療が将来一般的になり、iPS細胞で自らの肝臓を再生することが一般的な世の中になったならば、このような映画はとても気持ち悪くて観ていられない。自らの体内に息づく人工臓器が人類の幸福に帰属することを信頼したいからである。言い換えれば自らの生活に関係のない領域だからこそ、未知なるものを恐れる。バイオハザードに関連する映画は近未来に限って舞台設定されるのだ。現代を舞台にしたバイオハザードは悪趣味で、洒落にならないからである。

無尽蔵に湧き出てくる護衛兵はまったく死を恐れずに主人公に襲い掛かっていて、集団的ではあるが個々人の思想を持たない。この点で彼らが映画的にエキストラであるに違いないのだが、まさにTVゲームのプログラムのようである。殺されるためだけの役であり、そのような役が存在している以上は、殺すためだけの主役ができあがる。意思が少しでもある人は死を恐れぬということはない。死を恐れぬエキストラとは奇妙である。

とはいえ、SFアクション映画とは人間の無責任さと奇妙さをむしろ糧として鑑賞する美意識を持つ人のためにある。現在ではなく近未来を「体感」しようとする意識までを、否定することはできない。SFアクションを現代の倫理基準で評論しては野暮であるが、私はSFアクションは興味の外にあるらしい。