a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

Fallen Angels (1995) - 群像恋愛劇

Wong Kar-wai監督

 『恋する惑星』と同じく群像恋愛劇である。ほとんど同じだから、どちらを観てもよいであろうし、どちらが好きになろうとKar-waiのハンディカムを多用したロマンティシズムを堪能できる。『恋する惑星』でも書いたとおり、たえず人間のリズムで微細に揺れ動くハンディカムによる画面が、偶然の風のひと揺らぎで恋愛に陥ってしまう人間の微妙な心理を的確に表現している、という評価ができよう。

 しかし、彼の群像の特徴は行きずりの街の人全員が友達になれるという奇妙な全体意識なのだ。ハンディカムは彼らを糊付けしているだけだ。一度彼らの生活の圏内に入れば、後は自由な恋愛が待っている。要するに香港の狭い町で繰り広げられる成り行きの恋愛劇なのだ、本作は。その土地的な狭さもハンディカムで上手く撮ったのだと。

 ただし、自由恋愛劇に成功やハッピーストーリーは保障しない、と冷静な現実感も持ち合わせているわけだ。勝手に生まれた天使は地に落ちるのである。最後にミッシェル・リーと金城武も上手く行くのかまったくわからない。