Dario Argento 監督
ダリオ・アルジェントは初期作品では男を主人公に据え置いていた。それも彼にメロメロになっている彼女を侍らせているようなモテる男である。それがいつの間にか青年の女が主人公になっていった。それも、彼氏がいるケースもあるが、どこか孤独の影があるような女になった。それがいかなる意味を持つのか深い考察は文量も必要なのでともかく、暴力が暴力を産む構図を女を媒介にして描こうとしていることは一目瞭然なのである。『4匹の蝿』で描いたことが、より時系列的に詳細に描かれているのが本作である。
簡潔にまとめれば、レイプされた女が、今度は男女問わず殺しまくる異常者になってしまったという話である。案外、味方がいわゆる敵に変化する映画ストーリーは無くて、その意味でも貴重な映画。