Dario Argento 監督
彼の特徴的なカメラワークが確立している。たとえば緊張した面持ちのアップである。プログレッシブ音楽を途切れさせることなく流すことで、単に十数秒流すのとは違う意味合いが生まれる。この効果に気づいたのはアルジェントならではの功績である。同じく長回しによってショットに新たな意味合いが加わると看破した同世代に活躍したタルコフスキーとその意味で両極的な存在である。
平均的犯罪者という言葉が出たが、サスペンスやホラーの分野で、オカルトや超常現象でもない限り犯罪者はかならず居るのである。だからその犯罪者のレベルによって映画の方向性も変わるわけで、本作はTV向け映画ということもありマイルドテイストだった。『4匹の蠅』の殺人者なんてもっとハードテイストであった。