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a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

Rhino Season (2012) - 満腹の1作

Bahman Ghobadi監督

 独創的な演出のon parade (オンパレード)で映画通を腹一杯にさせる作品。すべてのシークエンスに一切の妥協がなく、どれもが新しさと恐怖に満ち溢れている。シークエンスは大胆に繋げ、観客が話の筋を多少見失うことすら恐れない。しかし貫かれた監督のpassion (情熱)とあるクルド人女性による朗読によって、祖国愛と人類愛が共存しつつ歌い上げられる。これはある料理ジャンルの、最高峰のレストランでのコース料理に似た、素晴らしきハーモニーと完成度の映画作品である。

 何より素晴らしいのはそれぞれのシークエンスの緻密度であり、同じく祖国の紛争と調和を描いたエミール・クストリッツアの『アンダーグラウンド』とはその点で対極にある。また本作は同じく悲劇でありながら、祖国の悲劇を実は性的な悲劇に置き換えて語ってしまう本当に大胆な試みなのであった。