雑賀俊郎監督
私の邦画チョイスが悪いのかもしれないが、邦画は大抵群像になりがちである。それも割と特徴的な群像の型に落ち込むことが多く、西洋の群像とも違う。今回のように田舎に誰か主人公が単身で乗り込み、その主人公が田舎の人間たちと群像を繰り広げるというパターンが好まれている。そのパターンは、西洋のヒロイズムに慣れた私にとってはストーリーの中途半端な分散として映りあまり好ましくないのに加え、そのパターンが邦画回の中でもかなり画一化されてしまっている印象があるので、なおさら嫌いになる。ラストで波止場に田舎のオーケストラが出迎えてくれてくれることなど、そして主人公がそのオケに対して泣きながら指揮をして応えることなど観る前から百も承知なのである。きっと私でなくとも、ある程度邦画を観ていれば、この展開は少なくとも予想の範囲内である。そもそも、この手の群像にはそれ以外のストーリーの完結法が存在しない。ストーリーの完結点は絆の形成にあるからである。その完結法は私にとって感動がないのだ。