Éric Rohmer監督
説明不要の美しい作品である。私の叙述能力不足という問題というよりも、ストーリーを説明すると美しくなくなってしまう作品だからである。ストーリーに気をとらわれていると間違いなくClaireの膝への性的憧憬を共感できなくなり、それは観客において美しさの受容からは離れ、おそらく監督の意図からも外れるだろう。あくまでも膝への性的憧憬であるが、男の欲望を叶えるポルノにしていない点が作品としても美しいのである。そしてまた、話の筋を気にせず、憧憬が確かに今回の映画には存在すると認識するだけの110分を楽しむ。この極上な時間を堪能してほしいわけだ。