Aki Kaurismäki監督
『ポルトガル、ここに誕生す~ギマランイス歴史地区』に収録されている。
ある男のたった5つか6つくらいのショートエピソードを繋げただけで的確に人物描写をする。これがAki Kaurismäki監督の実力であり他の監督にはできない。装置としては、人物の性格を代弁するような曲の挿入 (それも割と長めに流す)と同じく気分を代弁するような単色の壁 (これがフィンランド的というか、つまり日本やアメリカが持っていない色彩感覚)がある。もちろん、『浮雲』など彼は随分昔からこの装置を確立していて、今回は独創性に溢れているというよりは、堅実な実力を再確認した印象だった。個別の人物を描くことで、背景にあるポルトガル全体を描けているという点も、非常に好印象である。