Pedro Costa監督
『ポルトガル、ここに誕生す~ギマランイス歴史地区』に収録されている。
どちらかといえば属性はアートに近い。まだ新進気鋭の監督だから、自分の目線で世界の在り方を地道に強力に作り上げた。そのため収録されたオムニバスの中では一番時間が長い。本作の中で、その歴史に触れているものの案外と都市を映すことを拒否し、その舞台を自然に求めるという独創がある。また、密室の潜在的な効果をうまく発揮して登場人物の悔恨を観客に納得させる。一番驚いたのは、ライトを絞って画面の一部が完全に暗闇になっていることであり、映画の画面から本来あるべき権利を剥奪してでもポルトガルの歴史の闇や閉塞感を描くことを重視した監督の気鋭さである。