a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

Winter Sleep(2014) - 偽善を埋めてしまうような、静かな雪。

Nuri Bilge Ceylan監督

 

 破竹の勢いでカンヌ国際映画祭の賞を、まるで正確にコレクションしていくかのように、もしくはまさに彼こそがカンヌの渇望していた監督だと言わんばかりの、盛況振りを見せている。Nuri Bilge Ceylan監督はまだ若いのに、非常に有望であると同時に、この映画祭に愛されている。そして本作でパルム・ドールとなった。

 深々と雪の降る村。こう言えば、過去にそんな映画がいくらでもあった。時代から取り残された村を背景に、人間模様が描かれた映画の総数を計ることができないほどである。本作は、21世紀の問題を整理し、枚挙した感がある。例えば、インターネットの利便性によって出現した現代の変種、様々な批評家きどりによる無責任に人を批判する様は、まさに本作が風刺し、結晶化したのである。それだけでも功績になるが、更に更にと、登場人物を変え、今世紀に横たわる問題を明らかにしようとする。このフルコースさながらの3時間は、現代の人間が視聴するに値するボリュームであると、私は感じた。