a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

Carnegie Hall(1947) - 音楽家とのコラボレーション

Edgar G. Ulmer監督

 

 Rubinstein、Heifetzが登場して、しかも拙いながら役者として演技するという、それだけで価値のある作品である。主人公の半生を、実在のCarnegie Hallの演目と行き来して描写する、古典的ながら確実な方法で、見事に鮮やかに描き切ったのであった。Carnegie Hallは、映画というカンバスの中で、音楽という絵の具が持つ意味を十分に理解している。それは、主題をぼかす、叙情性であると気づく。音楽の聖堂であるから、シークエンスに常に音楽が鳴っている一般的な異常が、過剰演出とならず、観客に一定のリズムを提示しながら、降り積もる雪のように、叙情性を積もらせていくのだった。