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a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

Roman Holiday(1953) - 過去の、脚本の王

William Wyler監督

 

脚本のお手本として、誰もが羨むような完成度を持っている。まず始まる王女という貴族体制のデカダンスに、記者という資本主義の野心が次々と混じりあう。無邪気という潤滑油で二人の勢いが加速し、王道の恋愛映画に発展する。そもそも、街全体が恋愛を包み込むように、無邪気で楽天的なのである。最後には、恋は一瞬の夢として終わるが、つかの間の遊びを喜び合い素直に表情を表出し、人間の性善を信じ、貴族もサラリーマンも同等の人間として描写している。悲哀は残るが、写真は残った。喜びは永遠へと変わったのである。

本作は、身分の絶対的に異なる人達の、価値観が徐々に統一されることに意味があった。現代は多様性が増して、完璧な統一性をむしろ嫌う傾向すら感じる時がある。本作のような主題の熱狂的支持を、次世代の映画、小説は得られないだろうと考えると、観ながら郷愁すら感じる。

 

(花屋も気前が良かった点が、記憶に残る。)