a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

A Little Romance (1979) - 映画愛

George Roy Hill監督

 

監督の映画愛を描いた作品としても観れると思う。というのも、随所に漂う映画への愛情と、人間愛に満ちている作品であり、主人公の少年が映画好きである。王道的な恋愛ストーリーでありながら、主人公たちが少年であるユニークさを備えている。少年だろうと大人だろうと恋愛ストーリーにはすべてが共通しており、プロットの主要な立て方に変更するべき点がひとつもないことを証明した作品だ。もちろん、イタリアへの国境を渡るために老人を動員しなければならないという配慮はあるが、、、。つまりはすべての世代に共通する恋愛映画に仕上がったわけだ。すべての観客にささげる映画ができたのである。

恋愛の成就のために、逃避行と続け、異国情緒に浸る、これらも王道のストーリーであるが、主人公が少年であるとどこか感性が変わる。これを大人がやると、妙に色っぽく、退廃と破滅への危機を予感せずにはいられないのが映画ファンとしての正直なところである。少年の、その初心さ、若さは、道徳的に堕落しているのだろうけれども、人生としての堕落や破滅を感じさせない。鑑賞者の感性は変わり、希望と純愛の物語となる。