Andrei Tarkovsky監督。
奥行きを活用するカットを非常に多く含む。これがロシア(撮影時はソ連)の国民性が反映されているのか、それとも監督の性格なのかは今の私にはわからない。知識が不足している。
たとえばアメリカでは土地がひろく一部屋が大きい。日本は一部屋が小さく二階があるので、室内の撮影法は両者では大きく異なるように進化している。ロシアにおいても、奥行きを重視する文化的必要性があったのかどうかということである。
監督は、学生時代の卒業制作にて他の学生よりも20分以上も長い作品を作ったそうである。その理由が、正常な長さのショットを引き延ばせば新たな質や新たな強度が生まれる、とのことwikipediaに書いてあった。意識的に作ったことが伺える。
冗長性は、開始26分程度に現れる、トロッコでの移動シーンで主人公の後頭部を60秒映し続けるというものに観てとれる。大方の映画は、特に移動のシーンをカットすることで物語の余分な時間を編集するが、監督はあえて逆を行く。
水たまりができた廃墟が舞台。どこか人間を遠くから観察している雰囲気があり、そしてまた象徴的な脚色を含む。全体を通して常に合理的。そして現実主義的である。現実主義的に人間を救おうとする映画である。