a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

2016-06-01から1ヶ月間の記事一覧

Les Kiriki, acrobates japonais (1907) - アクロバット

Segundo de Chomón監督 数々の摩訶不思議な肉体技巧。種明かしはするまでもないが、空から地面に向けて撮影しているのである。この摩訶不思議世界を、あえて異国風に仕上げたあたりに監督としてのセンスがある!

Le voyage sur Jupiter (1909) - 縄梯子で木星へ

Segundo de Chomón監督 メリエスは月に行ったから俺は木星に行こう、という発想だったかどうかは定かではないが楽しい作品である。『月世界旅行』と違って、吊り下げられている縄梯子で木星まで行くところが独創的である。そして後半まで観れば撮影の種明か…

Une Excursion Incoherente(1909) - 映画の基礎

Segundo de Chomón監督 映画の楽しさの発想としての基礎がすべて詰まった作品。ピクニックに出かけた先では、美味しそうな食べ物の中には全部虫が入っている! 暖炉の中で繰り広げられる幻影や、アニメーションの数々。現代に至るまでの、有声映画の特徴を除…

The Electric Hotel (1908) - 憧れの全自動

Segundo de Chomón監督 自動で荷物をしまってくれる世界に私も居れたらどんなに良いことか! そんな現実的な夢の世界に連れて行ってくれる。(ただし、機械の誤作動には注意)

Tim Burton's Corpse Bride (2005) - 無感動

Tim Burton 監督 80分足らずの作品という性なのか、人物背景の描写不足が目立った。Corpse Brideはまだしも他のいわゆる生者たちの人物背景がわからないので、あまり魅力的なキャラクターたちではない。どんな展開になろうともあまり興味がわかず、結局Corps…

Mary And Gretel (1916) - 酔っ払ったうさぎ

Howard S. Moss 監督 酒に酔っ払ったうさぎが登場するアニメーションだ。「酔っ払ったうさぎ」とは、本来自然界に存在するはずはなく、したがって動物に擬人化を行った極めて面白い作品である。まさにメルヘンの先駆けである。摘むなと言われていた花を呆気…

Metropolis (1927) - エキストラの偉大さ

Frizt Lang監督 本作を超えるSF映画はあまり多くない。また、SFの中でここまで群衆に着目した映画もそう多くはない筈である。労働者階級の群衆、子供の群衆、暴徒化した群衆、祭り気分の群衆、etc。それぞれの群衆には歴然とした個性があり、そのために動員…

Hugo (2011) - 満願

Martin Scorsese 監督 かのモヒカン・デニーロを『タクシードライバー』で生み出した過激な天才監督が、ここまで爽やかな視聴後感覚の映画を作るとは! しかも、ジョルジュ・メリエスを実際的な主人公にして自らの作風に順応させてしまうあたり、本作はまさ…

Xtro (1982) - 不思議世界へようこそ

Harry Bromley-Davenport監督 ある友人に紹介されて観たら、本当の摩訶不思議世界の映画であった。すべてが不思議に満ちているために合理的な解釈がつかないこの視聴後感は、『不思議惑星キン・ザ・ザ』のようにカルト映画に必要なエッセンスをすべて満たし…

The Other Boleyn Girl (2008) - 主演がちょっと。

Justin Chadwick監督 息つく暇もない演出によって画面に釘付けになる。一方で主役の二人に難ありか。宮廷に入り王に取り入ろうと善処するもその甲斐なく打ち破れていく悲劇を演じる上でNatalie PortmanとScarlett Johanssonが良い仕事をしたのかと質問されれ…

GOEMON (2009) - 美術一級

紀里谷和明監督 これは世界から見た戦国日本のイメージという他なく、日本人離れした美術感覚で戦国時代を描く。甲冑は大鎧ではなく完全に西洋の甲冑。邦画をおそらく紀里谷和明はあまり観ていないだろうし、おそらく邦画を好きですらないと私は想像している…

リュウグウノツカイ (2013) - 邦画は「転」から見せる。

ウエダアツシ監督 群像劇としてうまく撮った。1時間程度の尺の中でそれぞれの女子高生が魅力的に映るように撮ることに成功した。そのためには、悪役としての冴えない教師や、反魅力的とも取れるあのマゾな男子高校生(名前は忘れた)がいかに冴えないかを映す…

STAR WARS EPISODE V:THE EMPIRE STRIKES BACK (1980) - 色気

Irvin Kershner 監督 全体的に色気を感じさせる鮮やかなカメラワークと脚本である。本作は『スターウォーズ』シリーズの中では異色と言って良いだろう。

STAR WARS EPISODE IV A NEW HOPE (1977) - 普通に良い

George Lucas 監督 物語の最後は祭典とともに主人公たちを一画面に映して、さっさとエンドクレジットに移行して終わる。『スターウォーズ』IからVIまでの作品に共通するラストシークエンスの立てかたである。恒常的な宇宙戦争に一息ついてささやかな祝祭をあ…

STAR WARS EPISODE II: ATTACK OF THE CLONES (2002) - 脚本が良い

George Lucas 監督 クローン戦争勃発と、アナキン・スカイウォーカーの堕落が同時並行で描かれるというシナリオが良い。どちらかに比重が偏るということも起きていない。必要なシーンを撮ってすぐにカットして次のシーンに繋げていくからテンポが良い。

STAR WARS EPISODE I: THE PHANTOM MENACE (1999) - 普通に良い

George Lucas 監督 作品全体が丁寧に作られており、主人公の格闘シーンや、地上での戦争シーンがよく練られている。

Rhino Season (2012) - 満腹の1作

Bahman Ghobadi監督 独創的な演出のon parade (オンパレード)で映画通を腹一杯にさせる作品。すべてのシークエンスに一切の妥協がなく、どれもが新しさと恐怖に満ち溢れている。シークエンスは大胆に繋げ、観客が話の筋を多少見失うことすら恐れない。しかし…

The Salvation (2014) - 新しい雰囲気

Kristian Levring監督 台詞が少ない割には音楽と効果音の比重が多く、不思議な視聴後感をもたらす。今までのマカロニ・ウエスタンにはなかった感触で、陳腐なタイトルと脚本を見事に料理した。デンマーク映画は、勧善懲悪を好む日本人にもなじみやすい。Kris…

Last Knights (2015) - 紀里谷はもうだめだ。

紀里谷和明監督 もう冒頭の入り方でわかる。本作が失敗であることに。『CASSHERN』の頃の方がまだ勢いはあったのだけれど、何か妙な気負いがあるのかどうかわからないが、本作は成功しようという野心が見え見えなのであった。これは頂けない、B級映画。役者…

Four Flies on Grey Velvet(1971) - 圧巻のラスト

Dario Argento 監督 多少肩に力が入っているというか、犯人の独白がかなり長い。つまりどうして猟奇的・精神異常的殺人を引き起こすのかという叙情的独白があった。それが本作以後の『サスペリア』や『フェノミナ』、『オペラ座/血の喝采』あたりになると犯…

A Dog's Life(1918) - 犬は名役者

Charlie Chaplin 監督 役者犬をよく集めることができたなと感心する次第。それ以外の役や脚本は、Charlie Chaplinのフィルモグラフィーとしては目新しい点がない。

The Old Man and the Sea (1958) - 映像の巧みさ

John Sturges 監督 John Sturgesと聞いて真っ先に思い浮かぶのが『荒野の七人』、『シノーラ』などのマカロニウエスタンである。一方で本作のような自然を上手く活用しないと話の本筋すらわからなくなってしまう、上手に実写化するには難しい作品も出してい…

Common Law Cabin (1967) - 普通

Russ Meyer 監督 いたって普通の作品。

The Immoral Mr. Teas (1959) - 麻痺

Russ Meyer 監督 繰り返される単調な音楽のために麻痺したような映画世界に、次々と妄想が広がっていく。このテーマ音楽がなければ、あまりにも単調すぎて映画としての体をなさないだろう。テーマはあるが筋などあったものではない。どちらかといえば、鬱に…

Gainsbourg: A Heroic Life (2010) - CGへの反逆

Joann Sfar 監督 ついにこんな映画を待っていた。2010年代に乗ってもなおCGに頼らない映画である。監督は漫画家としても活躍しているそうであり、アニメーションが登場するが、それらと現実との融合の様が見事である。 映画の面白さや芸術性が単にCGという技…

御法度 (1999) - 美男すぎた

大島渚監督 「美男すぎた」松田龍平のキャスティングは非の打ち所がない。喋りが下手であっても、それすら役者とキャラクターの個性として映画を組み立て観客を納得させてしまう、大島渚の監督技量には惚れ惚れする。最高の監督である。

The War of the Worlds (1953) - 微生物に感謝

Byron Haskin 監督 人類は微生物にどれだけ助けられていることか。特に映画世界の中では、微生物は本作のように味方にもなれば、大量殺戮兵器としての敵にもなる(最近の映画は、微生物は敵役ばかりである)。映画は目に見えないものを写すことができないのに…

Star Wars: Episode VI Return of the Jedi (1983) - 爽やかな視聴後感

Richard Marquand 監督 シリーズ最終章と気負いすぎることもなく、爽快な視聴後感を残せる内容となっている。リチャード・マーカンド監督はなかなか上手で、肝が座っていた。エンドクレジット手前で、Mark Hamillが死者に笑みを投げかけ皆の下へ戻っていくシ…

Star Wars: Episode III ; Revenge of the Sith (2005) - 圧倒的な視聴感

George Lucas 監督 劇場公開の時には私は中学三年生で、本当に興奮したのを覚えている。スターウォーズは揺るぎないブランドになってしまって、どんなに続編やスピンオフを作っても興行収入が見込めるから、10年後の今でも色々作っている。その変わり、興行…

The adventurer (1917) - さようならキャンベル、さようならミューチュアル。

Charlie Chaplin 監督。 本作でEric Kampbellの遺作になった。本当にすばらしい巨漢のコメディアンであった。巨漢と言ったらまずロスコー・アーバックルを思い出すけれども彼は悪役には向いていない。悪を象徴するには、顔が丸すぎたのである。だからキャン…