a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

2015-05-01から1ヶ月間の記事一覧

The Apparition(2012) - カビが生えてくるというホラー。

Todd Lincolin監督。 自宅の部屋にカビが生えてくるという、奇怪現象が起こるという売りのホラーである。 カメラワークについて、映画におけるカメラは世界を写すのではなく、むしろ映画世界を制限するために存在している。実は、カメラの役割は映画における…

The Last Boy Scout (1991) - 遊戯要素が満載。

Tony Scott監督。 子役のDanielle Harrisが、大人を物怖じしないすばらしい演技を見せている。その後、映画俳優にはならなかったようであるが、いまでもアメリカのドラマに出演しているという。以前『God Father』でマシンガンで穴だらけにされる男を見たこ…

Erin Brockovich (2000) - 俳優の演技に拍手。

Steven Soderbergh監督。 ストーリーは一般的である。一般的というのは、普遍的にみられるストーリーの型であることもあり、結末が読めてしまうことを指している。以前、良い俳優の定義について考察したことがあるが、本作はその内容がよくわかって貰える例…

The specialist (1994) - アクション映画は脱いでばかり。

Luis Llosa監督。 男と女の関係は、ストーリーや映画、そして画面に至るまでに幅広く連関している一大命題である。本作の中で、Sylvester StalloneとSharon Stoneの半裸が交互に写り、その中で二人が電話越しに会話をするシークエンスがある。どちらかという…

Final Approach (2007) - ストーリーが偶然の飛来に左右されるということ。

Armand Mastroianni監督。 『ストーリー展開の弁証法』で述べたことであるが、ストーリーの展開には偶然の飛来という条件を使うことができる。ある密室で事件に巻き込まれたという、ある種類の典型的なアクション映画においては、ストーリーの展開を促進させ…

The Concorde...Airport'79 (1979) - グランドホテル形式は墜落したようだ。

David Lowell Rich監督。 コンコルドという航空機は見慣れないが、以前就航していた航空機の一種である。コンコルドの着陸滑走路に突然と気球が飛び出してきたり、突然とミサイルが飛んできたりと、どことなく間が抜けた構成である気がしないでもない。とい…

Moulin Rouge! (2001) - Baz Luhrmannの悪趣味が光る。

Baz Luhrmann監督。 Baz Luhrmannの悪趣味が光るというか、なにかと凝っている作品である。ストーリー全体を入れ子構造にして、さらにそのストーリーが劇場で上映されているという入れ子を更に作る。なぜそんな余計なことをするのか、別にストーリーが劇場で…

Uncle Boonmee Who Can Recall His Past Lives (2010) - 音楽が無いことが光る。

Apichatpong Weerasethakul監督。 通常の映画であれば、なにかと映画音楽をつけたがるものであるが、本作にはほとんど音楽がない。かろうじて形而下音楽である宮廷音楽のようなものと、ラストシークエンスのロック音楽が流れるぐらいである。音楽の使い方が…

Horns (2013) - ダニエルラドクリフは、おそらく演技が下手である。

Alexandre Aja監督。 映画の現代潮流について、「ハリーポッター以後」と分けることができるのであれば、かのEmmanuel Toddの有名著書のような魅惑の響きが得られるように考えるのであるが。世界を風靡したハリーポッターのシリーズが、現代映画においてのポ…

A Clockwork Orange (1971) - クラシック音楽が映画と結婚できた、希少な作品。

Stanley Kubrick監督。 クラシック音楽をまともに使いこなせる監督は、やはりKubrickぐらいであった。他の多くの監督は、クラシック音楽からあまり多くを学ばないようである。一度しっかりとKubrickの音楽使いのセンスを見習わない法はない。たとえKubrickが…

Full Metal Jacket(1987) - 徹底した悲劇。

Stanley Cubrick監督。 ベトナム戦争というテーマで、一体いくつの映画が撮られたことであろう。『プラトーン』は、ベトナム戦争の画面描写において右に出るものはいない映画であるが、『ランボー』はベトナム帰還兵の心理葛藤を描写する意味で最高の映画で…

2001: A space odyssey (1968) - 音楽の使い方に慧眼あり。

Stanley Kubrick監督。 この映画の本筋は、HAL9000を切断してから何が起こったのかという詳細に尽きる。そこで何が起こったのかが、鑑賞者がもっとも気になって仕方の無い部分であるにもかかわらず、詳細は語られていない。気づいたら、すでに宇宙人となった…

The Shining (1980) - 空間を的確に描写するということ。

Stanley Kubrick監督。 どのような映画にしても、登場人物の存在する空間全体の描写には、無知にならずにはいられないものである。本作品は人物顔のdetail shotから、わざわざ丁寧に引いて登場人物がどのような空間にいるのかを描写するようにしているようだ…

Black Dog (1998) - トレーラーでチェイスするというアイディア勝負の作品。

Kevin Hooks監督。 Black Dogとは、ツェッペリンの歌曲のことではなくて、長距離運転をしている際にだけみえる残像のことである。長い間運転していると、だんだんと気分が散漫になってくる。それでも運転を続けていると、歩道の真ん中に一匹の黒いシェパード…

Paris, je t'aime : Place des fetes(2003) - 移民の悲劇を観る。

Oliver Schmitz監督。 『パリ、ジュテーム』という、オムニバス作品の中の一作品である。 オムニバスの中で、移民が幸福になるストーリーが無い。なぜなのか、移民の不幸の方面へとストーリーを展開する監督が非常に多い。もしくは、旅行者が旅先で不幸にな…

Paris, je t'aime : Quartier des Enfants Rouges(2003) - 薬漬けの女優を観る。

Olivier Assayas監督。 『パリ、ジュテーム』という、オムニバス作品の中の一作品である。 世の中にはいろいろな人が居る、ということでパリに来ている女優と麻薬売りの話である。

Paris, je t'aime : Parc Monceau(2003) - ワンショットで一作品の映画を観る。

Alfonso Cuarón監督。 『パリ、ジュテーム』という、オムニバス作品の中の一作品である。 かつては10分程度でも細かくショットを分けていたものであるが、最近はなるべく画面をカットしないで、どれだけの長さを撮ることが出来るのか模索する作品もある。本…

Paris, je t'aime : Tour Eiffel(2003) - 幻影を観る。

Sylvain Chomet監督。 『パリ、ジュテーム』という、オムニバス作品の中の一作品である。 子供がエッフェル塔の前で、父親と母親の出会いについて語る。掌編では、ストーリーテラーと彼の話という形で、10分程度の映画を作ることがある。そのストーリーテ…

Paris, je t'aime : Place des Victoires(2003) - ヴィクトワール広場におこるインタラクションを観る。

諏訪敦彦監督。 『パリ、ジュテーム』という、オムニバス作品の中の一作品である。 ヴィクトワール広場で、女はさまざまな「人」と接する。死んだ息子、謎の騎士(これがルイ14世の騎馬像と同一の人物なのかは不明である)、そして夫である。映画は、さまざ…

Paris, je t'aime : Bastille(2003) - 「スプートニクの恋人」が出現、その効果を観る。

Isabel Coixet監督。 『パリ、ジュテーム』という、オムニバス作品の中の一作品である。 小道具として村上春樹の「スプートニクの恋人」が出てくる。パリの街はさまざまな国の移民でグローバルであるが、映画に登場する小道具でさえもグローバルになっていく…

Paris, je t'aime : Porte de Choisy(2003) - 掌編コメディの難しさを観る。

Christopher Doyle監督。 『パリ、ジュテーム』という、オムニバス作品の中の一作品である。 パリのチャイナタウンを舞台にしている。wikipediaの説明には、私が閲覧した際本作がコメディであると紹介されていたのであるが、どうもコメディには見えない。と…

The Perfect Host (2010) - Pierceの演技がなかなかである。

Nick Tomnay監督。 David Hyde Pierce主演。なかなかの映画である。これで後半に採用された、在り来たりのラストストーリーが無ければ、よい映画になっていた。ポイントは、主人公が食事会を再び開催するという、繰り返しの型を作成したかったということであ…

Paris, je t'aime : Loin du 16e (2003) - フランスへの移民の実情を観る。

Walter Salles、Daniela Thomas監督。 『パリ、ジュテーム』という、オムニバス作品の中の一作品である。 フランスは移民の多い国で、さまざまな民族が移住して生活している。オムニバス中の他の作品にも、フランス人以外の民族が登場人物になり、フランスで…

Paris, je t'aime : Tuileries (2003) - 巻き込まれる事件を観る。

Joel and Ethan Coen監督。 『パリ、ジュテーム』という、オムニバス作品の中の一作品である。 駅に居ると、向かいのホームにいるカップルの男に因縁をつけられる。気づくとカップルの女の方がこちらのホームに来ており、いきなりキスをされる。そしてまた、…

Paris, je t'aime : Le Marais (2003) - 男が男を追いかけるという珍しさを観る。

Gus Van Sant監督。 『パリ、ジュテーム』という、オムニバス作品の中の一作品である。 本作は、男が男を追いかけるというめずらしい掌編である。一体どこに先ほど会った男がいるという確証があって、登場人物の男がひたすらにル・マレの街を走れたのかは不…

Paris, je t'aime : Quais de Seine (2003) - 転ぶ、倒れるというストーリーの開き方を観る。

Paul Mayeda Berges、Gurinder Chadha監督。 『パリ、ジュテーム』という、オムニバス作品の中の一作品である。 オムニバス内の他の作品にも観られることであるが、男と女がそれぞれ見ず知らずという条件で、二人が互いを認識しあうためには、どちらかが転ぶ…

Paris, je t'aime : Montmartre (2003) - しつこい医者を観る。

Bruno Podalydes監督。 『パリ、ジュテーム』という、オムニバス作品の中の一作品である。 道行く人を、運転席からみえるミラー越しに確認している主人公。すると、ある通行人がミラーの視界から消えているので、運転席を出ると、そこに通行人が倒れていた。…

His Trysting Place (1914) - 古典的な取り違えを観る。

Charles Chaplin監督。 主人公と登場人物は、飲食店で乱闘をした末にコートを取り間違えてしまう。物の取り間違いからくるストーリーが、一世紀以上も前には映画世界の中に存在していたというのは、驚くべきことである。近年の映画でも、空港で荷物を取り間…

His New Job (1915) - Essanay社での一作目を観る。

Charles Chaplin監督。 ChaplinがEssanay社に移籍した最初の作品である。そのため、タイトルは彼の同社における初仕事であることと掛けていると言う人もいる。つまり、この頃にはすでに、監督や俳優の名前だけでも観客を動因できるほどには、映画がメジャー…

Police (1916) - 映画における影の使い方の源流を観る。

Charles Chaplin監督。 「Let me help you to go straight」というフレーズが印象に残る短編。 物事の認知については、基本的に四つの構造がある。 (A)認知されるべきであり認知される、 (B)認知されるべきではないのに認知される、 (C)認知される…