a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

2016-05-01から1ヶ月間の記事一覧

The Immigrant (1917) - 主観ショット

Chelie Chaplin 監督 チャップリンの、船が登場するフィルムは船酔いしてしまってダメである。カメラごと振り子のように動かすのだから、特に大画面のシアターで見ると完全に酔ってしまう。もちろん、そんな映画初期の段階のフィルムで、当時の人もそうであ…

The Cure (1917) - 制約

Chelie Chaplin 監督 怪我をした足という条件が、スラップ・スティックをとても面白くした。やはり映画に登場する人物には、何らかの制約を与えなくては。そうすることで脚本や演技が面白い方向に、非日常的展開になって楽しい。

Easy Street (1917) - Gas !

Charlie Chaplin 監督 街の荒くれものであるEric Campbellの強いこと強いこと。もはや棒でどんなに強く叩いてもびくともせず、人間というよりは怪物のような心地すらする。どうなってしまうのかとハラハラしていると、電灯が怪力で折れ曲がってきて「Gas!」…

Behind the Screen (1916) - 男装するEdna

Chelie Chaplin 監督 チャップリンは『チャップリンの女装』で女装をしていて面白かった。今度はEdna Purvianceにも男装させてみた、という観客にとっては箸休めの気軽な作品である。

Ivan's Childhood (1962) - 撮りたい画のために何でもやった。

Andrei Tarkovsky 監督 タルコフスキーはしばしば詩的であると言われるけれど、映像の詩人であることの由来はその自由さにある。もっとも映画の制約から自由になろうとする意思の強かった監督、と言っても差し支えない。水面に焼夷弾の当たる絶妙な光具合と…

戦場のメリークリスマス(1983) - カンヌの恥

大島渚監督 700作品ほど映画を観てきて、本作ほど詩的にまとめられた反戦作品は他には見当たらないだろうと思った。あまり映画を観ない方々からすればメッセージ性が薄いと感想するかもしれないが(私も、もし映画観はじめの頃ならそう思っただろうからであ…

The Pawnshop (1916)-ギターのキャラ

Charlie Chaplin監督 質屋にもって入ったものを分解されてしまうという、おもしろいコメディ作品だ。 弦楽器に顔がはまって抜けなくなるという、楽器に手足がはえたキャラクターのようなものをフィルムにおさめたおそらく最古の作品。 (ギターのキャラクタ…

The Count(1916) - 盗人と夢物語

Charlie Chaplin 監督 伯爵を装ってつかの間の上流階級の仲間入りをする。そのチケットは仕立て屋が盗んだものだから、おもしろいなあと観るけれども実際は犯罪の現場であって、場当たりな窃盗に立脚しているからこそ夢物語なのだ。

青春残酷物語(1960) - りんご

大島渚監督 提示されているテーマがあまりにも明瞭で、結末のシークエンスが予想できてしまうのが玉に瑕だ。それはタイトルがあまりに強力すぎることも加担しているのだが、かといって代替案になる名称も思いつかない。それほどに青春の残酷さをテーマとした…

太陽の墓場(1960) - シネスコの最高の撮り方。

大島渚監督 大島渚は本当に偉い映画人であって、あのJean-Luc Godardも認めているほどの独創性の塊のような人であった。北野武の作品は煎じ詰めると大島渚のフィルムの要素に帰着するような気すらさせられるのではないか。すなわち北野武が好きであればさか…

Eyewitness (in "Door into Darkness")(1973) - 「めまい」の彼風のアレンジ

Dario Argento監督 金髪で灰色のスーツを着た死者を観ればまっさきに『めまい』が思い出される。本作はアルジェントがお茶の間にわかりやすいように、軽妙にアレンジした作品である。実際にはその死者が死者ではないことや、身近な共犯者がいる点なども『め…

The Tram (in "Door into Darkness") (1973) - 平均的犯罪者という用語

Dario Argento 監督 彼の特徴的なカメラワークが確立している。たとえば緊張した面持ちのアップである。プログレッシブ音楽を途切れさせることなく流すことで、単に十数秒流すのとは違う意味合いが生まれる。この効果に気づいたのはアルジェントならではの功…

Inferno (1980)- オカルトを信じている女

Dario Argento監督 彼の作品におけるホラーの源泉は、誰かの書いた古い小説、昔の絵画や戯曲に含まれるある種のオカルトである。そしてそれらを女が信じたがる。さも女は絶対的にオカルトを信じる存在であると疑わないかのように、Dario Argentoは女をそれを…

Demons (1985) - 典型的・基本的ホラー映画

Lamberto Bava監督 映画館に閉じ込められ、その中で感染性のゾンビが大量発生するというお決まりのようなホラー作品。この手のストーリー構成は後に大量生産型B級映画のひとつのテンプレートになったのである。 しかし暗がりの中で目だけが赤く光るゾンビと…

The Phantom of the Opera (1987) - 新感覚

Dario Argento 監督 コメディカルであり叙情的でもある。すなわちねずみを執拗に追いかけるコメディカルなシークエンスと、怪人の純愛が敗れる叙情的なシークエンスが、互いに馴染むことなく混在しているかの印象を受ける。悪く言えば中途半端、良く言えば独…

STAR WARS: THE FORCE AWAKENS(2015) - アメリカ人監督がまさかのアメリカ映画かぶれ

Jeffrey Jacob Abrams 監督 私、J.J Abramasが好きではないのだ。観てみたらやはりつまらなかった。彼は脚本家としてキャリアを積んできて認められているけれど、それ故なのか因果なのか、アメリカB級映画かぶれした脚本ばかり好んで書くのである。本当に安…

The Bird with the Crystal Plumage(1970) - 美術を映画と直接的に結びつける技

Dario Argento 監督 深いストーリーだけれども、後味がさっぱりしている。ダリオ・アルジェントの特徴は、不快な感覚を残さないことにあって、たとえば犯人をなるべく残酷な方法で死ぬようしむけたり、犯人を勧善懲悪もしくは因果応報に断罪することが無い。…

The Stendhal Syndrome (1996) - 暴力の憑依と継承

Dario Argento 監督 ダリオ・アルジェントは初期作品では男を主人公に据え置いていた。それも彼にメロメロになっている彼女を侍らせているようなモテる男である。それがいつの間にか青年の女が主人公になっていった。それも、彼氏がいるケースもあるが、どこ…

Phenomena (1984) - 展開の読めないおもしろさ

Dario Argento 監督 音楽に違和感があるので、展開がよめない。というのも現代の邦画にしてもハリウッド映画にしても、ましてやフランス映画でさえもストーリーにある典型的な映画音楽の雰囲気というものが決まっている。それがプログレッシブ・ロックになれ…

The Dybbuk of Haifa (2007) - 映画館に事件。

Amos Gitai監督 映画館が空襲を受けてしまう。叙事的な作品である。主人公が特にはいないから、画面を重ね合わせて漠然と撮影しても大丈夫なのである。平和であるから映画が楽しめる、という月並みな感想しか思い浮かばないものの、メッセージ性はある。

Opera (1987) - 映画にしかできない恐怖。

Dario Argento 監督 撮り方が非常にうまい。 今では有名かもしれない、扉ののぞき穴を見ているとそこに銃口を突きつけられて、あっという間に目から脳にめがけて射撃されてしまうというのは本作から始まった。レオス・カラックスが『ポンヌフの恋人』で真似…

Young and Wild (2012) - 映画という媒体の未来

Marialy Rivas 監督。 『アデル、ブルーは熱い色』というレズ映画が出て、私はあまり好きな作品ではなかった。青い髪をしたレア・セドゥがあまりにも奇抜すぎて、絵に描いたような主役風不良で、作品全体の斬新さを衒ったようで陳腐にみえた。 本作『ダニエラ…

Jurassic World (2015) - 非常にうまい現代版「ジュラシックパーク」

Colin Trevorrow 監督。 ジュラシックシリーズの主役は、実はいつもラプトルなのである。前作のラプトルは猛獣のようになりすぎ、本作のラプトルは人間味をつけすぎた。人間とアイコンタクトをするラプトルはあまりに不気味である。とはいえ、『ジュラシック…

Jurassic ParkIII (2001) - 本来の恐竜。

Joe Johnston 監督 ポケベルの音が、スピノサウルスの出現という恐怖に重ねられて演出される。教科書のような優秀な演出である。本作の恐竜は猛獣のようである。怖いようで、どこか怖くないようでもある。ここまで観て、一作目と二作目の恐竜は猛獣というよ…

The Lost World: Jurassic Park (1997) - 恐怖の達人2。

Steven Spielberg 監督 トレーラーが崖から突き落とされそうになり、必死でロープにつかまる主人公たち。途中でトレーラーが滑り、つぼ抜きのように彼らの横をすり抜けて落ちていく。もはや恐竜で怖がらせるというよりも別のアドベンチャー的要素にすり変わ…

Jurassic Park (1993) - 恐怖の達人。

Steven Spielberg 監督 必死で恐竜から逃げている最中であるというのに、ブラキオサウルスに目を輝かせている子供たちを観ると非常に違和感を感じる。本来であれば死の予感と孤独感に押しつぶされそうになっているのではないか。そこを現実的に描かないとこ…

そよかぜ(1945) - 日本人が知っておくべき映画

佐々木康監督 隙間風の吹く映画のようでもあり、邦画の歴史資料として貴重な作品でもある。細かいところではパンの粗さが目立ち、全体的な脚本も練られていないようでもある。平民がスター歌手になるという急に倒立したような話である。しかし「リンゴの唄」…

Blue Velvet (1986)- 垣間見た異常。

David Lynch監督 助演のIsabellas Rosselliniがあまり演技が上手くない。この人は、なんとIngrid Bergmanの娘。 作品は、正常な愛の関係としてのLaura Dernが居て、それに比べれば異常で倒錯した愛の関係としてのIsabellas Rosselliniが居る。これが前者を最…

How to Train Your Dragon(2010) - 普通の作品

Directed by Chris Sanders, Dean DeBlois ドリームワークス・アニメーションはピクサーよりは毎回制作費を下げて、より量産型の映画製作をしているように感じるが。本作は普通の作品である。やはりアニメの醍醐味といえば空中浮遊と飛行の描写力にあって、…

Monsters University (2013) - 普通の作品

Directed by Dan Scanlon 前作はサリーとワゾウスキが子供の前で必死に「大人」を演じようとしたが、本作は別に普通の子供になっていて、彼らの悩みもストーリーもよくある学園ものを踏襲しただけになった。前は大人の映画だったのが子供の映画になってしま…