a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

2015-08-01から1ヶ月間の記事一覧

Killer's Kiss (1955) - ロマンチック音楽の使い方を聴く。

Stanley Kubrick監督。 Gerald Fried音楽制作。 音楽制作は前作『恐怖と欲望』を担当した人が続投している。 ボクサーであるのに、マネキンや槍などの道具を駆使して戦っており奇妙さがある。 男がギャングたちと死闘し、その後に恋する女と結ばれるというロ…

View From the Top (2003) - 楽天的な映画を観る。

Bruno Barreto監督。 Theodore Shapiro音楽制作。 主人公は、地方線に勤務しなければならなくなったシークエンスは挫折といえば挫折ではあるが、基本的にすべてのシークエンスを楽観的に愉しんでいる。非常にポジティブな映画である。映画の普通な潮流に乗っ…

Spartacus (1960) - 贅沢な映画を観る。

Stanley Kubrick監督。 大勢のエキストラを贅沢に用いた映画である。一方でカメラワークは単調なので、3時間強の作品としては目が飽きてしまうかもしれない。Stanley Kubrickらしい撮り方にもなっていないので、彼の作品として観てよいものか個人的には疑問…

Paths of Glory (1957) - 処刑される兵士と精神的救済を観る。

Stanley Kubrick監督。 Gerald Fried音楽制作。 フランス軍で軍法会議によって処刑される兵士を描くという、アメリカ映画のなかで特異な作品。兵士は処刑されてしまうが、その後にいくつかの救済が待っているという構図である。

Fear and Desire (1953) - 詩的な画面を観る。

Stanley Kubrick監督。 Gerald Fried音楽制作。 原作と本作がどこまで忠実に関連しているのかを調べていない上で述べる。敵陣地へと乗り込む間、味方そして敵双方のショットが交互にしめされている。しかも、話している内容は心の中でつぶやくような独白で、…

The General (1926) - 機関車での逃走劇を観る。

Buster Keaton, Clyde Bruckman監督。 機関車を走らせての逃走劇など、現代においてはその機関車すら存在しないのであるから、十分に貴重な作品であると同時に歴史資料的な価値もある作品である。 スラップスティック・コメディ映画が、しだいに六十分を超え…

Constantine (2005) - ファンタジーやCGに付随する効果音を聴く。

Francis Lawrence監督。 画面をくるくると回すことが好きな監督である。 CGによってファンタジーを描写することがより身近になる中で、その中に孤立したようにたたずむ俳優たちの存在が気になる。CGの進化速度が加速する一方で、伝統的な演技の方法はcon…

Chain Reaction (1996) - 好みが人によりけりの映画を観る。

Andrew Davis監督。 Jerry Goldsmith音楽制作。 一概に批判をする意図はないが、音楽が単調でありつまらなかった。以前、B級映画とは「おおそよ現実であれば見られることのない、TPOに沿わない軽口や軽率行動を登場人物が言う」ものであると述べた。このよう…

One Week (1920) - 初めて?女の裸を写した映画を観る。

Buster Keaton, Eddie Cline監督。 近年のアメリカ映画であれフランス映画であれ、女の裸をスクリーンで観ることが一般的になっている。特に、女だけが脱ぐという偏差が著しいのが、最近のアメリカ映画であると思っている。しかも、そのショットに特段の意味…

Rock of Ages (2012) - 残念な画面を観る。

Adam Shankman監督。 観ていて失望したのは、魅力的な映画にするために必要となる画面の撮り方が理解されていないということであった。俳優は決して難易度の優しい演技をしているわけではなく、また本来は魅力的に立ち振る舞っていたような印象である。しか…

Never Weaken (1921) - 高層世界でのショットを観る。

Fred Newmeyer監督。 Hal Roach, Sam Taylor脚本。 前にもHarold Lloydが高層ホテルの窓から飛び出す内容の映画を観ていたので、彼の代名詞は高層ビルであるのかと勘ぐってしまう。しかし、今のハリウッドアクション映画はたいてい高層ビルからの脱出ショッ…

Paris, je t'aime : 14e arrondissement(2003) - 観光案内のような作品を観る。

Alexander Payne監督。 『パリ、ジュテーム』という、オムニバス作品の中の一作品である。 観光しているうちに、悲劇的にも自らの孤独を認識するにいたった主人公を描く。ただし、ナレーションを入れたのが作品にとっても悲劇的であるように思う。仮にナレー…

Paris, je t'aime : Quartier Latin(2003) - 平和裏に分かれた老夫婦を観る。

Frédéric Auburtin、Gérard Depardieu監督。 『パリ、ジュテーム』という、オムニバス作品の中の一作品である。 作品は普通であるが、最後にタバコをすっている婦人を窓に反射させて映したのが、画面としてきれいであった。

Paris, je t'aime : Faubourg Saint-Denis(2003) - 普通の掌編を観る。

Tom Tykwer監督。 『パリ、ジュテーム』という、オムニバス作品の中の一作品である。 特に感想の沸かなかった掌編である。しかし、登場人物のひとりが盲で、その二人のラブストーリーであるという点はユニークであるかもしれない。世の中の一定人口はなにか…

Paris, je t'aime : Pere-Lachaise(2003) - 墓地でのラブストーリーを観る。

Wes Craven監督。 『パリ、ジュテーム』という、オムニバス作品の中の一作品である。 墓地でラブストーリーを展開するという着想がよい。もちろん、ラブストーリーの内容自体はどこにでもあるような内容なのであるが、それでも墓地で実施している点が好感で…

Paris, je t'aime : Quartier de la Madeleine(2003) - ドラキュラを観る。

Vincenzo Natali監督。 『パリ、ジュテーム』という、オムニバス作品の中の一作品である。 はじめにドラキュラが登場したとき、『ハリーポッターとアズカバンの囚人』に出てきたデスイーターのようだと思った。基本的に、映画に登場する化け物は、形象として…

Bram Stoker's Dracula (1992) - すばらしい映像美を観る。

Francis Ford Coppola監督。 Wojciech Kilar音楽制作。 どうでも良い雑談であるが、映画の画面とは、奥行きを表現する態度であると私は考えている。そのため、登場人物は奥から手前へと移動してきて、結果としてカメラがその動きと連動して動くことで、いま…

Paris, je t'aime : Pigalle(2003) - 老夫婦を観る。

Richard LaGravenese監督。 『パリ、ジュテーム』という、オムニバス作品の中の一作品である。 オムニバスの中で、唯一続きが観てみたいと思った掌編である。

The Knockout (1914) - アクション映画の源流を観る。

Charles Avery監督。 建物の屋根の上を走り回るはじめの映画であろうか。もしくは、敵を物理的に殴って倒すことがストーリーになる、アクション映画の源流のような作品である。 手塚治虫のような作品の中にメタ視点を取り入れるような映画は、私はいまのとこ…

The Face on the Bar Room Floor (1914) - 悲劇の源流を観る。

Charles Chaplin監督。 悲劇の典型を観る。1910年代からも、映画の根本とは登場人物の認知の集合にある。主人公が悲劇を演じるのであれば、悲劇となるべき事象が必要である。それだけではなく、その事象を彼が認知しなければならない。公園で、運悪くも昔好…

Little Buddha (1993) - キアヌ・リーブスのひたむきな役作りを観る。

Bernardo Bertolucci監督。 現実界のストーリーと、説話内のストーリーが平行して進む形式である。 個人的には、キアヌ・リーブスの演じるシッダールタ王子もしくはブッダをもっと映像として見ていたかった。つまり、現実界のストーリーの方は私はどこかで似…

Hiroshima mon amour (1959) - 事件性の認識を観る。

Alain Resnais監督。 当時はさぞかし衝撃を生んだ作品であったであろう。フランス人が、日本に来て原爆について語っているのである。かと思いきや、後半はドイツ人将校のことを日本で延々と思い出して泣いて、最後はお互いのことを「ヒロシマ」「ヌベール」…

The Farmers and the Helicopters (2006) - 三画面連結の将来性を観る。

Dinh Q. Le監督。 ベトナム出身のアーティストである。ベトナムを、正負おりまぜた意味で象徴しているヘリコプターについて、いくつかの画面を展開する。それは三画面を横に連結するものである。それぞれ、体感で20秒程度のあいだに画面が切り替わる。その画…

Conical Intersect (1975) - 分解されゆく建物、その面白さを観る。

Gordaon Matta-Clark監督。 同年のパリ・ビエンナーレのために製作された作品を、映像記録とした作品。 ビルをひとつ解体することになる。半円状に切り取ったり、重機で切りくずしたりして、曲がった円錐のような形を作り上げる。その過程を記録しているので…

Splitting (1974) - 真っ二つになった、可哀相な家を観る。

Gordon Matta-Clark監督。 本作を観た場所は東京都内の美術館であったが、驚くことに本作の映写場には誰もいなかった。美術館にはある程度人は断続的に入っていたのに、この作品については、私が観ている間に人が入ってくる気配すらなかった。 ある家が、立…

Clockshower (1973) - 時計台の上でシャワーを浴びる様を観る。

Gordon matta-Clark製作 本作を観て思い浮かんだのは、『ルパン三世カリオストロの城』に登場した伯爵のラストシーンである。時計台の針の上で、なにかをするという発想が非常に似ている。 はじめ、時計台の台が画面いっぱいに映し出される。すると、左下か…

Fresh Kill (1972) - スクラップされる車の取り方の違いを観る。

Gordon Matta-Clark製作。 芸術家の記録映像として一般的に認識されているので、カテゴリーを映画とは分けようかとも考えた。しかし、映像作品はすべて「映画」の範疇として書くことが、逆に新たな切り口を生むことにもなると考えている。 車がブルドーザー…

Me and You (2012) - 現代の若者とiPhoneをこよなく愛する作品を観る。

Bernardo Bertolucci監督。 心の交流を直球で捕らえた映画。モダンであると思う点は、iPhone3かもしくは3Gが直接画面に登場し、もしくは主人公がPCをいじっているショットが多いことなどである。いまだに、新作でもiPhoneを登場させなかったり、古い電話器や…

Ten Minutes After (2002) - 10分で劇的に変化するストーリーを観る。

Istvan Szabo監督。 『Ten Minutes Older, The Cello』に収録されている、オムニバスの一つである。 本作を観ると、いかにストーリーが激流であるかということを想像してしまい、鳥肌が立つ。本作が成立するのは、優秀な俳優とスタッフによる綿密な打ち合わ…

The Dreamers (2003) - 色々と満載な映画を観る。

Bernardo Bertolucci監督。 Eva Greenのデビュー作である。 エキストラの定義は、同一の脚本によって動く二人以上の人間であると知ったのは、この作品のおかげである。また、本作は映画好きにはたまらない、数々の歴代の映画シークエンスの挿入によって脚色…