Istvan Szabo監督。
『Ten Minutes Older, The Cello』に収録されている、オムニバスの一つである。
本作を観ると、いかにストーリーが激流であるかということを想像してしまい、鳥肌が立つ。本作が成立するのは、優秀な俳優とスタッフによる綿密な打ち合わせによるところが大きい。シークエンスを切ることと、切らないこと、これらのどちらがより優れている、もしくはどちらがより映画として進化しているか、という答えは導きにくい。両者とも、映画の技術なのであって、映画の本質そのものではない。
ただ、いつまでもシークエンスが切られなかったら、人は疲れる。そもそも、日常生活においても、一日を思い返してみれば視界にみえる映像は、その90パーセント、もしくは99パーセントは認知せずに端折っている。そんな人間の脳が、10分も集中して映像を観続けることなど不可能で、逆立ちをしながら映画を観ているようなものである。芸術よりも人間の限界によって、映画の可能性が規定されているかもしれないと思う日々である。