a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

2015-06-01から1ヶ月間の記事一覧

The Blacksmith (1922) - 終幕の落ちの巧みさを観る。

Buster Keaton, Mal.St.Clair監督。 どことなく、冒頭と中盤以降でストーリーが一貫していないように見受けられるが、おそらく前半はやりたい事をすきに撮ってつなげたのであろう。 終幕の際、やや複雑で暗示的な入れ子構造をとっている。これがなかなかに巧…

The Haunted House (1921) - 階段がすべり台になる元祖を観る。

Buster Keaton, Eddie Cline監督。 階段がいきなりすべり台になるというナンセンスは、今の時代となってはありふれているけれども、1921年にはすでに発明されていたと考えると感慨深い。 本作を観て感じるのは、現代映画が多用するdetail shotがほとんどなく…

Broken Blossoms (1919) - 不当待遇による悲劇の元祖を観る。

David Wark Griffith監督。 silent pictureの良いところ、すなわち現代映画には決定的に抜け落ちてしまっている要素として、登場人物の感情描写が豊かである。その豊穣さが非常によくわかるのが本作であるが、典型的なのはLillian Gishの主に表情を活用した…

Battleship Potemkin (1925) - detail shotの詳細な進化学を観る。

Sergei Eisentsein監督。 彼がゴスキノで製作した記念すべき作品。 モンタージュを基礎として完成させられた映画であるという予備知識があるか無いかには関わらず、本作には数々のdetail shotが使用されていることが、観たらすぐにわかるほどの綿密なモンタ…

呪怨 終わりの始まり(2014) - 存在=非存在が日本で当たり前であることを観る。

落合正幸監督。 『ブンミおじさんの森』で、アジアにおいて存在=非存在の人間が登場することが、文化的に受け入れられていることを先述した。東南アジアにおいてそうであるように、日本においても存在=非存在が当たり前のように受け入れられる。その証拠が…

Basic (2003) - 探偵ものにおける知識のストーリー展開を観る。

John McTirnan監督。 本作は『プレデター』を撮った監督が勤めている。本作が最新の作品であるらしい。 音楽にRavelのボレロを使った作品。しかしながら、ボレロである必要がいまひとつ不明である作品でもある。形而下の音楽でもなければ、形而上の音楽とも…

All the King's Men (2006) - ストーリーは上手いが、感情移入ができない悲劇を観る。

Steven Zaillian監督。 監督は、むしろ脚本家としての仕事の方が目立っている人である。 Sean Pennの演じる、酔っ払っているのかいないのかが若干不明な演説が特徴である。Jude Rawは『グランドブタペストホテル』に出演していたそうであるが、二回視聴した…

Mad Max beyond thunderdome (1985) - 決戦のストーリー構造と遊戯構造を観る。

George Miller監督。 本シリーズの初作で、ドライビング映画でありそれゆえに面白かったのであるが、いまやドライバーの面影すらなくなってしまった。初作がすばらしいが故に連続的に続編が発生し、初作の面影を減衰していく姿は『ランボー』に通じるものが…

Barry Lyndon (1975) - 典型的な悲劇の変遷を観る。

Stanley Kubrick監督。 典型的な悲劇のストーリーである。しかし、伝記物のテイストにしてその主人公が死ぬまでを看取るような、ごく普通のことを監督は描写していない。決闘によってのし上がった主人公が、決闘によって片足を打たれて怪我をして、故郷に退…

Eyes Wide Shut (1999) - 終わり方が洗練されている。

Stanley Kubrick監督。 Kubrickの中で一番きれいな画面である。観てすぐに原作小説を注文したので、届くまで正確な評価はしがたいが、どうもかなり原作に忠実であるらしい。ということは、今まである映画の中で最も難解な部類のストーリーであるのは小説に帰…

3-Iron (2004) - 多少特殊な世界観で、それがよい。

Kim Ki-duk監督 他人の留守宅へと勝手に上がりこんで、不法侵入以外は特に犯罪をすることなくただ居座る男。この存在自体が独特である。その男に、DVを受けている女が後を追っていくというストーリーが前半。この前半だけで、女が男に何を望むのかということ…

Bragil (1985) - この世界観はなかなかのもの。

Terence Gilliam監督。 これ以上のSFは無いと思われる。Science fictionとしてではなく、望ましい未来について語る未来学としてのfictionである。なぜなら、本作に登場している全ての機器や官僚体制は、実際にわれわれが生きている世界で実現しようと思えば…

The Birth of a Nation (1915) - 無言劇の境地。

David Wark Griffith監督。 役者の顔の表情、そして立ち振る舞いに注目すべきである。silent movieでは、声を直接出すことができないという制約がある。驚いたという感情を示す際には、現代映画のように台詞で直接描写することができず、その感情を演技しな…

Wings of desire (1987) - 男と女の可能性について。

Wim Wenders監督。 モノクロをうまく用いて、色彩の感覚を鋭敏化させることに成功した。本作はその点において映画の可能性を発展させたかと思う。 サーカスの女がいて、最終的に天使がその女とキスをすることで終幕する。つまりは人間という存在と天使という…

The devil's advocate (1997) - 映画史には残らないが名作だと思われた。

Taylor Hackford監督。 今日観ると、才能があるなと思わせる部分が多々ある。そろそろ公開されて二十年が経とうとしている。今日に原罪をテーマに取り扱ったのは、Lar von Trierの『アンチクライスト』が最後のように感じるが、どうしても原罪のテーマを直球…

Rumble in the Bronx (1995)- ホバークラフトでBronxを走り回る様など、圧巻。

Stanley Tong監督。 Bronx区での喧嘩というタイトルで、最終的にはホバークラフトで街中を走り回る映画である。 Jakie Chanのハリウッド進出成功となった記念すべき作品である。Anita Muiの演技がなかなか好感であった。若くして亡くなってしまったことが惜…

The bone collector (1999) - 本というモチーフを観る。

Phillip Noyce監督。 Angelina Jolie とDenzel Washingtonの共演である。Angelina Jolieは本作で初の主演となり本格的に才能が認められたので、Phillip Noyceによって見初められたと言っても間違いではないだろう。 『Secret Window』でも述べたが、出版され…

Predator (1987) - アクション魔物の中に人間自身を観る。

Johe McTiernan監督。 Steve Wangが手がけたプレデターは、いままでの宇宙人とは様相が異なる。『21世紀宇宙の旅』のような摩訶不思議な存在ではないし、大量殺戮のみを目的にしているような機械でもない。どうも、プレデターは人間を鏡に写したようないでた…

The Core (2003) - なかなかのSF。

Jon Amiel監督。 地球の外から、どこの星人の作った代物かもわからぬスペースバトルシップが来襲したり、もしくは隕石が呼び寄せられるのは、よくあるSFストーリーである。本作は、地球の中それも内核にまで侵入して、核爆弾を爆発させて地球を生き返らせる…

Secret Window (2004) - 映画が、いかに本や文章という存在からインスピレーションを受けているか。

David Coepp監督。 映画が、いかに本や文章という存在からインスピレーションを受けているか。どんな脚本も文章によって執筆するのであるから、私が述べたいのは言語としての本や文章ということではなく、より一般的な素材としての本である。本作では、Secre…

The woman in black (2012) - Men in blackとは大きな違い。

James Watkins監督。 Daniel Radcliffeがハリーポッターシリーズを勤め上げた後の、初めの主演作。たいした作品ではなかったのに、興行収入は良かった。 問題なのは、Daniel Radcliffeの演技の下手さ。もうすこし、なんとかならないものか。その後『Horns』…

幸せの黄色いハンカチ(1977) - 映画の日向。

山田洋二監督。 映画は 、もし 高倉健は倍賞千恵子 それは圧倒的に日向であり、日陰ではないのだ。

Infestation (2009) - 昆虫が人間を襲う。

Kyle Rankin監督。 北朝鮮でも、ソビエトでも、昆虫でもあらゆるものが襲ってくるのが、映画の説話的空間である。昆虫の場合は他の人間が襲ってくるよりかは、多少は物事が単純であるように思う。すなわち、人間であれば「交渉の余地あり・なし」「同情の余…

Hollow Man (2000) - 女優の見せ所が満載である。

Paul Verhoeven監督。 Kevin Baconは『激流』でも見せた猟奇的な人柄が、ほとんどそのまま本作にも表れている。Elisabeth Shueの役どころが非常に多く、好感である。以前にも説明した、人を説得できる振る舞いを、彼女はできると思われた。 一度地下が爆発し…

Wrath of the Titans (2012) - CGが圧巻。

Jonathan Liebesman監督。 登場人物たちにあまり共感ができなかったが、CGが圧巻である。やはり映画は空想の世界を描くことに、技術的な得手がある。ヒューマニズムを描くことに対して得手があるかどうかはわからない。本作は、空想の神が、すこし小汚いおじ…

Mad Max2 (1981) - 前作とは異なる雰囲気の作品。

George Miller監督。 主人公の色恋沙汰がまったくないため、前作とは異なる雰囲気の作品に仕上がった。

Needful Things(1993) - 爆発した家から平然と出てくる姿。

Francer C. Heston監督。 Max von Sydowの演じる男が、奇妙で非常におもしろい。

Passengers(2008) - 2000年代で10の指に入る。

Rodrigo Garcia監督。 Anne Hatherwayの演技が上手い。

Mad Max (1979) - Mel GibsonとJoanne Samuelのベストカップル具合が伺える作品。

George Miller監督。 Mel GibsonとJoanne Samuelのベストカップル具合が伺える作品。 それはそれとして、撮り方に斬新さが多かった作品。カメラは「制限空間」を創出するものであるが、あまり空間が制限されているような感覚がしなかった。これがカメラワー…

Harry Potter and the Prisoner of Azkaban (2004) - 音楽がなかなかである。

Alfonso Cuaron監督。 Harry Potterシリーズの何が良いかといえば、音楽が良いことに尽きる。 本作の良い点は、舞台そのものが危険と隣り合わせであるという設定的な不安定さにある。いつでもディメンターと呼ばれる危険が来襲できるため、ストーリーの展開…