a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

2015-03-01から1ヶ月間の記事一覧

Daydream (1922) - 映画のみで取り扱うことができる主題を観る。

Buster Keaton監督。 この作品はすばらしい。この作品が述べていることは、文学的に表現することも、音楽的に表現することもし難い。完全に、映画という文体でのみ表現できるようなことを扱っており、非常に好感が持てた。

The goat (1921) - 動く列車を利用した映画を観る。

Buster Keaton監督。 この頃の映画で、実際に動く舞台を利用した映画というのは珍しいかと思う。更に極めつけは、ラストにおいて列車の先頭にKeatonが乗っかっていた点である。あまりにも独特なセンス。

The Boat (1921) - 装置の発展を観る。

Buster Keaton, Eddie Cline監督。 カメラ自体を回転させることで、空間全体が回転しているように見せかける手法は、本作が初めてではない。船が揺れる様子の一部や、河を登って下る様子をこの技術を応用して示した点がおもしろい。しかも、船の様子は途中か…

Blade (1998) - 血液学者によると、ゾンビは貧血であるという。

Stephen Norrington監督。 血液学者が登場人物である。それだけで、どことなく贔屓にしている映画。

Ragin Cajun Redneck Gators (2013) - アリゲーターが村を襲う。

Louis Myman監督。 なかなか、低予算であるとCGの質が目に見えて下がるものである。本作は、どことなく毒をもっているような、毒イモリとアリゲーターがキメラになったような生物が出てくる。彼らが飛び道具を持っているとは、反則的である。

太平洋の奇跡 フォックスと呼ばれた男 (2011) - チェロのソロパートという映画音楽。

平山秀幸監督。 標題にある通り、米軍にフォックスと呼ばれた男が主人公である。 B級映画の定義である、戦闘中における不自然な言語応酬が確認される。カメラワークにおいても、人間がこんなかたちで配列しているものか、井上真央が説得不能な意固地すぎる人…

Born Free (1966) - 本物を使うことは、画面上において贅沢なことである。

James Hill監督。 『ハングオーバー』で、マイクタイソンのライオンがホテルの一室に登場するが、あれはCGである。本作は、切り返しショットの特徴を最大限に活用して、リアルなライオンがさも人間の近くに居るようにした。そして一部のライオンは、実際にた…

トラック野郎・一番星北へ帰る (1979) - 複数のストーリーが独立的に組合わさる。

鈴木則文監督。 俺はこれを撮るんだ、という気概を感じる作品。音楽は木下忠司で、彼は木下恵介の親戚である。使用された楽器は、三味線か琴か。会津若松へ舞台が移動した際、その地方の独特の民族音楽が映画音楽として使用された。これは、街が醸し出す雰囲…

Pterodactyl (2005) - プテラノドンが大量発生し、それをただ撃つだけでも、観ていて少しぐらいはおもしろいのである。

Dana Dubovskyディレクター。 B級映画という表現は語弊がある。あまり上手くない映画においては、緊迫したシチュエーションにおいて間の抜けた言語応酬が頻繁におこなわれることがある。プテラノドンが強襲するという超異常事態において、笑いながら世話話ば…

Lethal Weapon 4(1998) - 敵がカンフーの達人であると、打撃の応酬が見応えあり。

Richard Donner監督。 ハイウェイでのカーチェイスシーンをよく工夫している。実のところ、主人公と的がカーチェイスをして、椅子をソリにしては知っていたとしても、周りの車は何事も無かったかのように平然と走っている。これがアクション映画における、周…

Maximum conviction (2012) - 銃撃戦

Keoni Waxman監督。 アクション映画に普遍的なことであるが、基本的な戦術は銃撃と打撃の二つのみである。すなわち、打撃ができなければ銃撃をして、銃撃ができなければ打撃をすることになる。これは何を意味するかというと、アクション映画における代名詞で…

Airport’77 (1977) - 飛行機が沈んでしまうという、斬新な観点の映画。

Jerry Jameson監督。 初めからほぼ全て、右から左へのパンをしてばかりで驚く。はじめの5分ほどは、ショットのほとんどがパンで、対象は画面右から画面左へと運動している。 映画のscreenplayにおいては、例えば鞄がストーリーの可能性であることを描写しや…

The Next Generation (2014) - カップ麺が飛ぶ様子を見るだけでも、お買い得。

押井守監督。 全ての現代邦画が、というわけではないが、主人公たちの居る部屋がきたない。ただでさえ日本の間取りは狭いというのに。良く言えば狭い部屋がさらに狭い空間のように感じられる。しかし、本作においては、部屋が小さいというのに、遠近感覚が不…

Airport (1970) - Distribution d’ensembleのなかなかな映画。

George Seaton監督。 Jean Seberg、Helen Hayesなど有名な役者揃い。Jacqueline Bissetは本作後あたりからがより有名になっただろうか。本作のような構成をensemble castと英語で呼んでいるそうだ。明らかにフランス語源でまざっていて、気持ちのわるい単語…

Lifeforce(1985) - 女がひたすら男の生気を吸っているだけの映画。お気に入り。

Tobe Hooper監督。 本作のこのだらだらとしたストーリーに、音楽がHenry Manciniである。大した映画ではないと思うのであるが、音楽が超一流なのである。 私にしたら、『JM』に続く、一年に一回は鑑賞したい映画である。この範疇の映画とは、決して映画の作…

John Q (2002) - 社会派の映画とは、悪役を作らないことである。

Nick Cassavetes監督。 この作品の監督はおもしろい人で、本作のような真面目な作品ばかりを撮るのに、『ハングオーバー2』に出演している。『My sister’s keeper』を最近に撮っているので、医療問題系に興味でもお在りなのだろうか。患者と医師、弁護士がか…

Armageddon (1998) - 巨大水星の地表世界は圧巻。

Michael Bay監督。 巨大水星の地表の世界は、ただただ圧巻。21世紀に入る前に作られた映画のCG水準を、ぜひ本作から実感するべきなのである。21世紀に入ってから、本作よりもCGが下手な映画があったら、それはCG技術が退化してしまったか、低予算でやむなく…

Bad Girls (1994) - 女4人カウガールで主人公となる、めずらしい映画。

Jonathan Kaplan監督。 女4人がカウガールとなったウエスタン映画である。主人公全員を女にしたことが珍しいので、面白い映画。 Madeleine Stowe、Mary Masterson、Andie MacDowell、Drew Barrymoreという、演技力には疑問もあるがその後も活躍する女優たち…

Frequency (2000) - 未来と過去という名の異国を、ある周波数が繋ぐ。

Gregory Hoblit監督。 『Flight of the Phoenix』のDennis Quaidが出演している。消防士の父を無くした男が主人公。ある日オーロラが出現する。するとSFという名の偶然が働いて、一昔前の父親とラジオで交信できるようになる。面白い発想である。 ある猟奇的…

TOKYO TRIBE (2014) - 日本にめずらしい、アクションB級映画。

園子温監督。 監督は、ただ女の子の格闘シーンをとって、合間に白のパンツが見えるシーンが撮りたかっただけなんじゃないか。そう思った作品である。 本作を観たのは目黒シネマであるが、そこでは雷音上映といって、通常よりも体感で1.5倍ほどの音量で上映す…

ヒズミ (2012) - 日本版『気狂いピエロ』。音楽がその場を支配する。

園子温監督。 震災という状況設定と、ボート店の湖畔に沈みかけている家という象徴(もしくは記号とも呼べる)が、いまいち作品のストーリーにどう関わっているのかが不明である。なぜなら、染谷将太も二階堂ふみも、親からの理不尽な暴力というものを溜め込ん…

Air Force One(1997) - せまいはずの機内が、せまく感じない不思議。

Wolfgang Petersen監督。 ストーリーの典型において、主人公の敵は身内に居る。最後の最後にて、護衛隊のひとりが突如として裏切るような真似をして、観客は困惑させられるのであるが。少なくともアメリカのアクション映画においては、まるでなにか形而上の…

L'Extravagant Voyage du jeune et prodigieux T. S. Spivet (2013) - 永久機関ではなく、親子の話である。

Jean-Pierre Jeunet監督 永久機関を作る子供の話かと思いきや、親子の疎遠と回復を描いた映画である。いったい永久機関とはなんだったのであるか。いいかえれば、Kyle Catlettの発明するものは永久機関でなくても一向に差し支えない。重要なのは、なにかの受…

Limite (1931) - ただひたすらに移動する。そして捕われる。

Mário Peixoto監督。 一番に指摘しなければならないことは、ラストにかけて使用されている海のシークエンスであるだろう。本作はサイレント映画であり、オープニングからエンドまで終始音楽がかけられている。海のシークエンスでは、豪華で陽気なオーケスト…

About Time (2013) - 自慰的なストーリー。

Richard Curtis監督。 Rachel McAdamsの演ずる女のボーイフレンドは、『ミッドナイト・イン・パリ』のように本人に内緒で勝手にタイムトラベルをする。本人は、彼がタイムトラベルをしていることを信じていないか、もしくは本作のように知らされていない。 …

The Grand Budapest Hotel (2014) - 映画館では笑いをさらっていた。

Wes Anderson監督。 映画という描写方法には、映画館でなければわからない点が複数ある。一つには映画館ならではの音響、二つには座席によって異なる画面の見え方の相違。そして三つには、観客に作品が受け入れられているかどうか、である。この三点目は、実…

Lethal Weapon (1987) - 最後、クリスマスの夜に決闘させたことの意味。

Richard Donner監督。 自殺願望のありそうな刑事と、他方そうではない一般的な家族持ちの刑事による麻薬捜査のストーリーである。 刑事が二人組で捜査をする形式では、互いの主義主張・性格に大きな乖離を前提することが普通である。そうすることで、片方の…

Haywire (2012) - 女スパイ&アクションの頂点。

Steven Soderbergh監督。 邦題で『エージェント・マロリー』と題されているように、女スパイ映画の王道を行く映画である。 本作はキャストが極めて成功した。アクション映画では主役に格闘家出身者を起用することがあるが、本作の主役には女の格闘家が起用さ…

Dragonheart (1996) - optimismであり、ドラゴンが主人公というめずらしい映画。

Rob Cohen監督。 当時のCGレベルでは、なかなかのドラゴンを見せてくれる。 自分が何のアクションを起こさなくとも、世の中はある規則に従って動き、その結果として世界は調和されるという立場が、Schopenhauerのいうところのoptimismである。本作のドラゴン…

The Hangover part 3 (2011) - 量産をしている。

Todd Phillips監督。 日本版のキャッチコピーは「もう、しません。」と言うらしいのだが、実は嘘である。主人公が三人組であるから、一人ずつ結婚させれば三作品が量産できるにも関わらず、何故が通常のロードムービーとなった。そのため、誰も泥酔していな…