Mário Peixoto監督。
一番に指摘しなければならないことは、ラストにかけて使用されている海のシークエンスであるだろう。本作はサイレント映画であり、オープニングからエンドまで終始音楽がかけられている。海のシークエンスでは、豪華で陽気なオーケストラ音楽がながれている。そして何が起きているかといえば、その拍に正確にあわせるように波が岩にくだけちる映像が重なるのである。それも、決して短いとはいえないその音楽が流れている間、波が岩場でくだけちるショットを切っては再使用する。するとどうなるかといえば、波が音楽にあわせて脈うっているかのようにみえる。
もともと本作の自然光に対する感性は高く、水面に光が反射している画として、本作ほどに綺麗である作品はあまりお目にかかれないだろう。せいぜいタルコフスキーを挙げられるぐらいである。
スーツを着た男は、ひたすらに早足で歩いている。その画面に対比されている音楽には切迫した雰囲気がある。しかし、最終的に男が到着した先は墓地である。