a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

2014-12-01から1ヶ月間の記事一覧

Edward Scissorhands (1990) - 女心をくすぐる、シザーハンズという存在。

Tim Burton監督。 街の古屋敷に住んでいる、孤独な人造人間の話。若干設定は『フランケンシュタイン』に似ていなくもないが、ストーリーの方向はまったく異なる。エドワードを生かして逃してしまうあたり、非常に甘い。現代用にうまくフィットしている。 そ…

Pierrot Le Fou (1965)- 根底に潜むもの。

Jean-Luc Godard監督。 小説なるものと音楽なるものが、一つになることを拒み、互いに干渉するような作品と思っている。この小説と音楽とは言うまでも無く、小説をピエロ、音楽をマリアンヌとして映画の中で構造化されているものだ。互いの形式が完全に親和…

Breaking the Waves (1996) - 力量不足であるが、監督の方向性は揺らがない。

Lars von Trier監督。 わざわざ章を分けるところは、劇作の文化を思わせる。本来的には、映画でわざわざchapterを分けることを作中に示さなくても良いし、本質的にはそれがなくとも作品の質を変化させることはない。また、chapterを示すショットには音楽をか…

Melancholia (2011) - 前半のけだるさが良い。後半は意味不明である。

Lars von Trier監督。 監督の作品は、かならず部が別れている。オペラの影響を受けているのだろうか。 冒頭に登場した絵画は、『惑星ソラリス』でも使用されていた。多少なりともA.Tarkovskyの影響があるものと思われる。 第一章では、ながながと続く披露宴…

Memoirs of Geisha (2006) - 甘ったるい異国情緒映画。

Rob Marshall監督。 異国情緒があるというだけで海外の受けはよいフィルムであろうが、私としてはいまいちピンと来なかった。戦前から戦後にかけて活躍した芸者についてのストーリーなのであるが、あまりにも描写が小綺麗すぎていけない。戦時中から戦後の芸…

8 Million Ways to Die (1986) - 創意工夫に満ちた戦闘シーンが魅力。

Hal Ashby監督。 アルコール中毒が主人公の映画といえば、本作であろう。 映画において奥行きをよく映せている映画。多少なりとも感動できるほどである。基本的には鑑賞している側を正面手前として、奥から手前へと人物の移動があるとよい。移動があることで…

The Dark Knight Rises (2012) - 時代錯誤のコスチュームをした悪役たち。

Christopher Nolan監督。 アクション映画の前提とは、戦闘するという行為である。その闘いのためには、話し合いの効かない相反する敵対勢力が必要であるが、何について背反するのかという火種も必須になる。結局のところ、アメリカにおける民族主義的なテロ…

あなたへ(2012) - 日本のノスタルジアといえば、これ。

降旗康男監督。 北野武がキャンピングカーをのりまわす。 日本の任侠映画界を類希なる才能で牽引してきた高倉健が、これほどのノスタルジアにひたっているのかと、新鮮になる映画である。『網走番外地 北海篇』では刑務所から仮釈放されたやくざとして車を走…

Gremlins 2 The New Batch(1990) - 前作となんら変わらず。『ランボー2』が出て来る。

Joe Dante監督。 普段はおとなしい、ぬいぐるみのようなモンスターが水をかけられることで凶暴なグレムリンへと分裂する。グレムリンは好戦的である一方で、ロック音楽を聴きながら集団でもりあがる。さながら人間の属性の一部のようである。娯楽映画の典型…

Gremlins (1984) - 個人的には好みの部類にはいる。

Joe Dante監督。 人間の傲慢さに対して社会的に働きかけるような作為のある映画。ストーリーの発想が非常におもしろい。人間たちが自らの怠惰さやおろかさのために蒔いた火種があり、それらを鎮圧するというストーリーであるが、その火種の付き方がおもしろ…

Mission:Impossible (1996) - TGVの高速感は見物。糸吊りアクションの基本形。

Brian De Palma監督。 登場人物に属性をもたせなければ、イデオロギー的な作品にはならない可能性が高い。本作では、たとえば退役軍人やアウトローな人間などのあらかじめ属性が決定している人間がスパイをしているわけではない。登場する複数の人間は、なぜ…

The 12 Disasters of Christmas (2012) - 不思議な自己完結ものがたり。

Steven R. Monroe監督。 征服されたものの恨み、という題材もアメリカにおいては星の数ほど映画がでている。例えば『Mothman』では先住民族の恨みがストーリーの根幹になったが、本作ではマヤ文明がアメリカ大陸において征服されたことへの文化的な恨みが発…

Home Alone 3 (1997) - 子供の名探偵。

Raja Gosnell監督。 音楽上のあえて不一致な演出は、コメディであるか、もしくはミスマッチである。映画上の登場人物は緊迫しているであろうはずのシーンにて、あえてポップで楽しげな音楽を流している場合、それはコメディであるか、もしくは製作上のミスマ…

SUBMERGED (2006) - 国家的な暗某へと挑むSeagal。

Anthony Hickox監督。 とりあえず銃をぶっ放したいがために撮られたような作品。監督は、かなりの映画好きであるように見受けられた。かなり編集する監督である。 いわくつきの兵隊を集めて特殊部隊をつくる。そのリーダーはS.Seagalが務める。さながら梁山…

DIE HARD2 (1990) - 空港を利用した、創意工夫にあふれる作品。

Renny Harlin監督。 空港というセットでこういうことも出来るんだという、創意工夫に満ちた作品。 音楽同士の対決が観られる作品でもある。味方の形而上の音楽と、敵の形而上の音楽を、交互に流していく。作品全体を大きく盛り上げることができるのである。 …

The Hard Corps (2006) - Jean-Claude Van Dammeはベレー帽が似合う。

Sheldon Lettich監督。 色々とむちゃくちゃな映画。Jean-Claude Van Dammeはベレー帽が似合う。 個人的には悪役の集団がTVゲームをしているシーンが好きである。こう、遊戯をしている人間を映すというのは、人間の本質を描写しているようで好きなのである。…

Antichrist (2009) - Tarkovskyなら、本当に火を焚くけどもね。

Lars von Trier監督。 兎に角、キリスト教の根源的な事象を、映画という手段で実写しきったという点が、本作の素晴らしい点である。 冒頭から原罪を悪びれもなく犯すシーンで、なおかつ子供が死ぬのだから、本作の名前のAntichristはダテではない。ただ人間…

Dogville (2003) - 実験映画を地でいくような作品。

Lars von Trier監督。 小説を読んでいる時に、その読んでいる人の頭の中を覗いているのではないかというような作品。 そして、映画の感動が完全に失われた作品。いくらストーリーや感情を追うためには景色背景が要らないことが証明されたからといって、それ…

Dancer in the Dark (2000) - ビョークの才能に圧倒されたが、監督の真剣さにも圧倒された。

Lars von Trier監督。 本作の特徴としてjump shotというものがある。なんら難しいことはなく、例えばA地点からB地点へと歩くとき、普通は歩くカットを含めてAからBまで歩くシーンを、A地点から歩き出したカットとB地点へと到着したカットのみで表現する。 こ…

Les Parapluies de Cherbourg (1964) - 音楽で感情を表現する良さを、堪能できる作品。

Jacques Demy監督。 全編がミュージカルという映画。Michel Legrandの音楽が非常によい。 それぞれの音楽同士は、登場人物の感情や、直近の次の幕と調和していなければ綺麗には聞こえないと思われる。本作はそれが見事に親和している。ただし、私は時折入るJ…

The Perfect Storm (2000) - 荒れ狂う海のなかなかの迫力。

Wolfgang Petersen監督。 映画の開始は、高らかで誇らしげな音楽から始まる。 『老人と海』のような映画。一回マーフがメカジキ用の仕掛けである針にささって海に落ちるというアクシデントはあったが、基本的には同じ。もっとも、『老人と海』のように、肉体…

Le Fabuleux Destin d’Am?lie Poulain (2001) - 最後のキスの演出がにくい。

Jean-Pierre Jeunet監督。 1973年9月3日、Amélieが誕生したところから話がはじまる。そして駆け足で彼女の幼少期を振り返る。そして1997年9月28日の11:00にAmélieがどのような結末をむかえたのか。 空想にふけるAmélieは、非現実的なようで案外と現実的な人…

The Purple Rose of Cairo (1985) - 気恥ずかしいくらいに、ロマンチスト。

Woody Allen監督。 映画好きにたまらないだろう映画は、本作や、スピルバーグの『Super 8』であろう。どちらも、映画世界の内容が現実世界へと侵入してくるストーリーである。どの映画ファンも、映画が好きなのだから、映画の内容が目の前で現実になることを…

One Day (2011) - 7月15日は彼女たちの記念日。

Lone Scherfig監督。 ある男と女の恋愛的な半生を、一日ずつの断片で長々とみせていくという映画。その二人に興味がもてなければ、至極退屈な映画となってしまう。主演のAnne Hathaway、Jim Sturgessともに役にはまっているので、退屈ではなくおもしろい映画…

The King’s Speech (2010) - 吃音の克服なるか? 音楽の使い方が典型的な映画。

Tom Hooper監督。 本作は主人公が吃音を克服し、宣戦スピーチを行うというストーリーである。最後にスピーチを行うシーンがあるが、戦争という生々しい邪気が発せられるという不穏ではなく、正確にスピーチすることができたという喜びが勝って映画が終わる。…

Limitless(2011) - 頭が良くなった末の職業は、大統領なのか?

Neil Burger監督。 神経の受容体を活性化させる薬を飲むことで、頭の回転が非常に早くなる。すばらしい投資家を目指して行くというストーリー展開である。この場合、他の数多くの作品と同様に、ストーリーの可能性は空想上の薬によって引き上げられることに…

Torn Curtain (1966) - いるいる、こういう物理科の教授。

Alfred Hitchcock監督。 30分ほど映画が経過して、ようやくストーリーの全貌が掴めるようになるのだが、あえてそのストーリーは隠されながら映画が進んでいるので、ここでストーリーには触れられない。 面白い点は、物理科の教授同士のやりとりのシークエン…

SOMEWHERE (2010) - 映画音楽が秀逸。Elle Fanningの配役が完璧であった映画。

Sofia Coppola監督。 車が画面の外から画面の中へと入って行く構図は、良く観られる。冒頭に入れるもので有名な作品は、A.Tarkovskyの「ノスタルジア」である。もっとも、本作はスポーツカーが案外と多く描写されているのである。 ひとつには、映画音楽が良…

The Steamroller and the Violoin(1960) - タルコフスキーの短編。

Andrei Tarkovsky監督。 晩年のTarkovskyなら、もっと長まわしにしただろうなぁ。バイオリンを弾く男の子を、人影を利用して何段階もクローズアップしていく。 現実世界においてもそうであるように、また映画世界においても同様の現象であるが、人間の表情を…

Black Swan (2010) - ママの鬼電話と、娘の幻覚。

Darren Aronofsky監督。 電車の中に気持ち悪い男が居たが、稀にみる気持ち悪さであった。 バレエの主役に選ばれた女の人の、主観的な幻影を描いた映画である。 音楽には二種類あり、現実世界の日常に流れている、生活の中の音楽を再現する場合と、感情を惹起…