Christopher Nolan監督。 アクション映画の前提とは、戦闘するという行為である。その闘いのためには、話し合いの効かない相反する敵対勢力が必要であるが、何について背反するのかという火種も必須になる。結局のところ、アメリカにおける民族主義的なテロ、すなわちエスノセントリズムに対する相反する敵対勢力であればいくらでも描くことができる。本作にしても、共同体主義的な街に対して、個人的な欲求を強要しようとする者が悪役として措定されている。
私としては特に印象に残る映画ではなかった。特に、現代社会に非常に時代遅れな悪役の趣味の悪いマスクをみると、狂気の沙汰ではないかと思う。ただし、俳優陣は豪華である。Anne Hathawayは特によかった。以前、『エディット・ピアフ 愛の讃歌』ですばらしい演技であったMarion Cotillardは残念で、紋切り型の悪役を演じることには向いていないようである。