2015-09-01から1ヶ月間の記事一覧
Wim Wenders監督。 映画として、ストーリーを持っているものではなく、評価できるものではない。唯一、映画音楽を流し続けているから、これはダンスのドキュメンタリー映像なのではなく映画としての体裁を持っている。これが無音であったら、完全にドキュメ…
Jim Jarmusch監督。 とても良い。演出が大胆で、役者は演技が上手いかどうかではなくその素地が生かされているような印象。「youtube」「iphone」という最近の時代を象徴するモチーフが使用されている。その時代を象徴するモチーフを映画に取り入れることが…
Jim Jarmusch監督。 異なる国籍の人が、ついに互いに言語がわからないにもかかわらず、気軽に仲良 くなっている。Ghost Dogとアイスクリーム売りである。 この監督がアクション映画に取り組んだのは、非常に意外な印象を持つ。大衆娯 楽の映画とは異なる方向…
Jim Jarmusch監督。 現代風に言えば若者によくあるようなモラトリアムということで、若者の亡霊 のような自己探求を描いている印象である。自分の感性に合う、自分の居場所で あるという確信的な安心を抱けないから、居住地を転々として自分に合う場所を 探…
William Friedkin監督。 映画の快楽とはまさにこの映画の提供する時間のごときものである。主人公が捜 査官であるとか、アメリカにフランスのマフィアが攻めてきているという主題と は快楽は関係しない。捜査官とマフィアの物理的な距離感を、きわめて忠実に…
高畑勲監督。 小学生時代のシークエンスなど、私にも「あるある」と共感できるような場面ば かりである。こういう、的確で繊細な描写ができるということで、スタジオジブ リはアニメ界における優等生なのであって、その意味において天才肌なのではな い。 と…
Jan de Bont監督。 アクション映画を観ていると、敵対ということの効果を考えさせられる。主人公 はある物事と敵対し、それに打ち勝つことで自分の能力を知る。しかし、その本 当のストーリー上の目的とは、主人公が自己の存在意義を知ることである。たえ ず…
Mark Atkins監督。 この手の映画にはお決まりのことで、登場人物同士は仲が悪いといったものでは なく、全員口が悪すぎるかもしくは短気である。金の亡者やマザコンも多い。い つでも口論になるようにしてチームを分裂させたら、はぐれた者から一人ひとり 食…
Brad Silberling監督。 子供も大人と同様の感情表現ができるという明瞭な証拠となる映画である。本作 の中で女のティーンエージャーは、同姓への嫌がらせも、虚栄も、日々の孤独も 、ふと沸く冒険心も、不正に立ち向かう心も、何でも表現することができた。…
Walter Hill監督。 教科書を地で行くような話で、功績を得ないと後がない警察官と、その警察官に 期限付きで釈放をされる囚人のコンビによるストーリーである。ただし、俳優が 上手いので楽しく観れてしまう。ストーリーが普通でも、俳優のその素地に人間 と…
Pierre Morel監督。 Luc Besson製作になると、映画好きであるからなのか、台詞に映画タイトルがい くつか入ることになっている。 主人公がフィアンセと楽しい夜にまさに突入しようとする時、指令が入るやら相 棒から電話がかかるなりで、その夜がお預けにな…
Thunder Levin監督。 元より破天荒な映画であったのだが、人気であったらしく続編が作られていた。 この映画は、人々がのうのうと観光しているところに、サメ台風がやってきて人 々を食うので、元映画の続編なのか姉妹版なのか判断に迷うところである。サメ …
Gerard Pires監督。 Marion Cotillandは、なかなか稀に見るユニークな女優である。可愛い笑顔で「2 時間で戻らなかったら(この女は)火あぶりにするわ」と平気で言える。しかも その台詞の余韻に、嫌な感じや悪気を残さないことが凄い。『エディット・ピア …
Tim Story監督。 『TAXi』と同じシナリオを持っている。主人公の性別を変えて、フィアンセの性 別も対応させて変えて、ついでに敵役の性別も変えてと、気分爽快な潔い変え方 である。舞台はパリからニューヨークになる。 シナリオを変えずに姉妹版を作ること…
Mark Waters監督。 見合いに行く途中で死んでしまった研修医のゴーストが主人公の話である。元々 縁談があったが、その背景を知らないで男女が出会って惹かれあい、最終的に縁 談でも結ばれていたことを知るという構図は、かなり昔から存在する。マリヴォ ー…
Steve Shill監督。 久々に大悪党を観たというか、根っからの女悪役を観る映画である。どういう方 法で女が変幻自在に現れるのかがいまいち謎であるが、なにか霊的というかモン スター的な恐怖を描いているような印象である。だから、この映画は典型的な女 性…
Anand Tucker監督。 緑を基調とした部屋を久々に観たという印象であった。確か、以前は『バクダッ ドカフェ』でその部屋を観て、それから半年以上の月日が経って本作の中で久々 に観た。個人的な意見としては、緑の部屋は人間の表情を映すことには向かない …
John Turteltaub監督。 登場人物がやや少なく、ありきたりなストーリーを90分程度で終了する短縮版の ような映画である。CGや登場する道具が面白いので、画面を楽しく観れる。短 縮版でも受け入れられるということは、この手のストーリーが一般的に広く定…
Nora Ephron監督。 アメリカではるか隔てた場所にいる男女が、エンパイアステートビルでめぐり会 うまでをストーリーにしている。何が二人をめぐり合わせたのかといえば、それ は主人公に残された一人の息子である。子供の力によって、現実では不可能であ る…
Sam Wood監督。 本作には、愛を形成するために言葉があまり必要とされない。二人が会うことに よって、その出来事がすなわち愛になる。しかし二人が別れてもその愛は消える ことはない。少なくともストーリーが続いている間は、二人の愛は永遠となり、 そし…
北野武監督。 監督のジョークの多彩さには驚かされるばかりである。ストーリーが壊れている 映画であっても、自分から「(この映画は)壊れている」と言ってしまえばよい という、面白い発想の文法をもっている。「(この映画は)フィクションである 」と前…
北野武監督。 監督が芸人でもあるからという訳ではないが、芸人であると主に二つの点におい て映画で才能を開花させることができる。ひとつは、遊戯を描写する際の多彩さ と深さである。これは、ジョークとも通じるところがある。人間は、人生のどこ かで遊…
Quentin Tarantino監督。 「パルプ・フィクション」は非常に良くできた映画だ。 つまらない単調な映画は、白紙の上に描いた非常に長い直線になることがある。そ れは、途中から観たら話の全貌がわからず、かと言って初めから線を追っても、単調なためにつま…
Jean-Luc Godard監督。 コーヒーの水面のdetail shotという特徴的なシークエンスを持つ。男はカフェ でコーヒーをぼんやりと眺めながら、思考にふけっている。どのような思考をし ているのかは、カメラが正面から男を捉えても、側面から捉えてもその真実に到…
Jean-Luc Godard監督。 シネマスコープを採用するとは、この監督にしては珍しいことである。シネマス コープの問題点は、面長である西洋人の顔を収めるにはむずかしい点である。必 然と、画面全体に占める表情の大きさが減るので、感情描写がむずかしくなる…
Jean-Luc Godard監督。 男と女が座っており上半身を写しているショットに、同じ場所に女だけが座って いるショットを連結させると、極めて不自然である。不自然ではあるが本作では 実際にそれをやってのけており、その連結の際には、ピアノの鍵盤をでたらめ…
Dialogue avec un produit de consommation「消費社会の産物との対話」という Jean-Luc Godard監督。 ショットが5分間続くことが印象的である。映画とは人間の意識を切り取るもの であり、映画の世間への発表とはすなわち意識を社会観念へと対決させること…
Jean-Luc Godard監督。 物語も良いのだが、映画について勉強させられる映画である。切り返しのショットは基本技術であるが、それによって二つの異なる画面に対象性が発生する。これは私の意訳であるが、その結果としてそれ二つの異質な画面が概念的に統合さ…
Jean-Luc Godard監督。 Paul Misraki音楽制作。 鏡の使い方が秀逸な映画。ドアの取手付近にある金属板の部分さえも鏡面として使用してしまっているほどの、圧倒的なこだわりによって様々な鏡の応用例を観ることができる。 意識と、何故と質問する事の二点を…
Jocelyn Moorhouse監督。 愛情が崩壊していくという、映画が非常に好むテーマについて取り扱っている。そしてまた、テーマについて禅問答のようなストーリーを展開して、その中で登場人物に喋らせて、ストーリーの答えを見つけ出そうとするものである。その…