Jan de Bont監督。
アクション映画を観ていると、敵対ということの効果を考えさせられる。主人公
はある物事と敵対し、それに打ち勝つことで自分の能力を知る。しかし、その本
当のストーリー上の目的とは、主人公が自己の存在意義を知ることである。たえ
ずその存在意義を増し続けることが、アクション映画には必要である。主人公に
とっても、それを観る観客にとっても、映画は観ることで人間の自己を賞賛する
ようにできている。アクション映画に限らず、どの大衆映画も同じである。
冒頭のシークエンスで、Angelina Jolieは海中神殿で宝を奪われる。これで争奪
戦には負けたことになる。しかしここでアクション映画の哲学としては、シーク
エンス全体としては勝利にならなければならない。そこで、脱出不可能かに思わ
れた海中神殿から脱出する、という主眼に置き換えて、勝利に置き換える演出を
採る。
恋愛すらも、男女の意思の戦い合いの上で勝利する。ここまで闘争欲があるにも
かかわらず、金銭や名誉への欲は一切無い。